建築設備トラブル㉝ 現象要因別トラブル㉙
・赤錆の錆瘤による給水障害
塩ビライニング鋼管の初期のものは配管端部の鉄の露出部分への耐蝕処置は全くなかった。そのため錆が継ぎ手部分の配管切り口断面に集中し短期間に大きな錆瘤に成長し、配管断面欠損による給水量不足のトラブルが頻発した。既存配管の改修は配管内部をライニングし、新設の場合は管端コアの取り付けで対応している。
赤錆の場合は、昔は鉄板製受水層や配管系全体で発生していたが、FRP製受水槽や塩ビライニングにより、錆の発生箇所が特定部位に集中し錆瘤となったものである。最近ではポンプ類までコーティングされたものが出てきている。
・地中埋設管の腐食
筆者の経験した事例では、マンションの共用部散水栓の塩ビライニング管が外構工事の柵を取付ける際に傷つけられて外部から腐食し一円玉程度の大きさの穴が開いていた事例がある。驚いたのは鉄部の大きな腐食にもかかわらず、漏水事故に至るまで内部のライニングだけで直結部の水圧を維持していたことであった。これも『マサカ』であった。配管外部の防食テープにはちいさな傷があった。
このように、埋設管(金属管)の防食テープの損傷による配管腐食事例はたくさんある。特に造成地や埋立地では、土質の違いによりマクロセル腐食が発生しやすいためである。工場跡地は残留化学物質、海岸そばでは水中の塩分、電車軌道の近くでは、迷走電流が外面腐食の原因となる。これを防ぐには、①埋設配管ルートを短くしたりピット内配管とする。②金属管をプラスチック配管、外面樹脂ライニング鋼管とする他に、③防食材に油性のものを用いるなどの配慮が必要である。また、建物への取り入れ部では、躯体と絶縁しなければならない。
シンダーコンクリート、軽量コンクリートなどへの埋設配管ももちろん腐食する。以前は多かったが、最近は塩ビ管又は外面塩ビライニング管で施工することが多くなったので、このトラブルは少なくなったと思われる。