◆「集合住宅の設備」-クレームの実際とその対策-⑤

2020年12月24日

□排気設備のトラブル

  • 集合住宅の換気設備については、小型の換気ファン(天井換気扇や小型軸流ファン)の発達もあって、現在は各住戸の戸別排気方式が主流であるが、ここに至るまではいろいろな試行錯誤があった。この書の発行時期は集合住宅設備の黎明期でもあり、読者の皆さんにとっては初めて聞くような話も多いと思われる。ご参考まで。
  • ①集合住宅の排気

排気方式は、各戸毎に排気する方式と、屋上換気扇で強制排気する方式について述べている。

屋上換気扇による排気の場合の各戸の排気ファンとの連動方式の注意点と、最上階から三層程度まで騒音トラブル対応の必要性について述べられている。

  • ②集合住宅の給気
  • 給気口のない住戸のクレーム発生について述べているが、この時代に給気口のない集合住宅があることを知ったのは驚きであった。筆者が不動産会社の設計監理部に派遣されたのは昭和44年(1969年)で、その契機は分譲マンションにおける換気不良であった。トラブルが発生したマンションに給気口を設けたのは勿論、それ以降のマンション設計においては、厨房排気用及び各居室換気用に給気口を取り付けるのは常識であった。
  • 下記のようなクレームが発生することを警告している。当然のことであるが、この書の時代にも計画されていることが『マサカ』である。
  • ・ガス燃焼による酸欠
  • ・排気が悪い
  • ・排気ファンの運転による、窓サッシからの風切り音の発生。
  • ③省エネシステム・高性能機器設備集合住宅の給排気―トレーサーガス法による測定結果

某マンションにおいて1976年換気設備の機能調査を行った結果、給気口の設置が効果的であるとの結論であった。言うまでもないことである。

  • その他の不具合事例についてあげる。
  • レンジフードの取付高さを誤って排気不良となった。
  • 給排気口に鳥が巣を作った。・・・マタカ事例
  • レンジフード+換気扇の換気方式で、換気扇コンセントをレンジフード内に設けたため油や湯気でショートした。
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