「空調設備トラブル事例・対策集」(日本建築設備士協会)➀
1.数値に関する問題-経験値は大切だが、エンジニアリング・ジャッジも必要―
その1:外気の設計条件に付いて
・東京近郊の新設建物で、冬季に寒波が続いたり、連休明けには暖房運転の立ち上がりが悪く、室温が所定の状態になるのに期間が掛った。
・東京近郊のため外気の最低温度が低かった(設計外気温度0℃、最低外気温度-7℃)、ための容量不足であった。ボイラがセクショナル型であったのでセクションを増やして容量アップした。
(コメント)建設地の気象データの確認が必要である。又正月休みが長いなどの場合は、暖房開始時間を早めるなどkは管理者の対応が必要である。
その2:在室人員について
・某デパートでは暮の大売り出しの人出で、室内が暑くなった。空調方式が各階エアハン方式で、外気も各機械室で取入れるようになっていたので、換気風量を外気を増やした。
(コメント)現在は店舗ビルだけでなく、大型のオフィスビルでも冬期の冷房対応は常識と言える。私見ではあるが、この頃の熱源は夏は冷水、冬は蒸気の場合も見られ、蒸気のリークもあったのではないかと思もわれる。
その3:機器発熱について
・某マンションは、ファンコイルユニットによるセントラル方式の空調で、一次処理外気を供給している、厨房にもファンコイルを設置しているが冷房が効かないという苦情があった。
・原因としては、➀ガスレンジ2台、ガスオーブン2台のガスの使用量、同時使用率が高い。②フードが小さく、排熱の一部が天井にこもる。③電気冷蔵庫の容量が大きくコンデンサーの熱が予想より大きい。④当初予定されていなかった厨房器具が設けられていた。
・以下の対策を行った。➀セントラル方式の厨房排風機の容量アップ。②フード上部の天井に吸い込み口新設。③一次処理外調機の送風量を増やし、吹出し口を新設。④暖房時にはFCUのバルブを閉じる。
・機器の発熱に関しては、病院、研究所、工場などでは室内に設置される機器類を十分把握することが望ましいとある。
(コメント)FCUの形式や設置位置が不明であるが、吹出し空気により排熱がかき回された可能性もある。ホテルなどの厨房でも、吹出し口の位置は要注意である。マンションの設計はたくさんやったが厨房の冷暖房はめったにない。上記トラブル事例はこの頃多く建った高級マンションで厨房も大きいのであろう。一般のマンションでは厨房排気用の外気を居室経由で取入れることで冷暖房対応は可能である。