「空調設備トラブル事例・対策集」(日本建築設備士協会)⑫
24.屋外を通る排気ダクトに結露―結露に必要な厚さにチェックせよー
・ある寒冷地のホテルで、浴室排気のダクトが屋外に露出した部分で結露が生じた。屋外露出部分の断熱はグラスウール25mmであった。
・対策としては、屋外部分のダクトにさらに断熱材を重ね、防水紙で空気遮断しダクトには排水管を付けた。
(コメント)筆者の聞いた事例では、関東地方北部の大型ビルで、屋上露出の排煙ダクトに結露し、排煙口から水滴が落ちた。室内空気が排煙口から漏気して屋上まで流れ結露したものである。この場合もダクトと排煙ファンを断熱した。排煙ファンがなぜ屋上機械室に設置されずに、屋上露出設置であったのかは不明である。
25.送風機吸込み側ダクトの過少で振動が発生
・和室の上階に機械室があり、厨房用の給気ファンが設置されていた。ファン吸込み口ダクトのサイズが小さく、そのため発生した振動が下の階の襖をガタガタさせたものである。
・吸込み側のダクト厚さ寸法を、送風機の吸込み口直径の1.25倍とした。
(コメント)送排風機周りのダクト接続の寸法については、各社の技術基準に決められているが、設計事務所の技術者には徹底されていない。したがって、建築計画時点で機械室のスペースが小さく、必要なダクト寸法を取ることが出来ないことがよくある。設備計画者は機械室スペース計画に際して、施工上の余裕に配慮しておく必要がある。
26.送風機並列連合運転で騒音発生ー送風機特性、運転状況をチェックし、相互干渉に注意ー
・某建物の空調機は現場組立の物で、両吸込み送風機2台が設置されている。この空調機を運転するとバタつくような騒音が発生した。原因は送風機の並列運転で双方が干渉して不安定な運転状況になりサージングを起こして騒音発生となったものと思われる。
・対策としては、2台の送風機の間に十分な大きさの仕切り板を設けて相互干渉をなくした。
(コメント)昔の大型空調機による全館空調時代のトラブルである。同一特性の多翼送風機を並列運転する際の問題点については本書に解説されているが転記はしない。読まれた方はこのようなトラブルがあるのだなという事を頭の隅にとどめておられるだけで良い。