「空調設備トラブル事例・対策集」(日本建築設備士協会)⑭

2021年03月30日

29.配管路の最底部が詰まって送水量が不足―配管中の水抜き、ゴミ抜きができるかー

・竣工2~3年後空調の効率が悪いとのことで調査したら、施工中に使用したシール材や異物、配管スケールが冷温水配管中に詰まっていて、室内ユニットへの送水量が不足していた。

・原因は配管の立下り部にダートポケットがなかったためで、詰まった配管を取り替えダートポケットを設けた。

(コメント)このような常識的な配慮も、設備されていないとどのようなことになるか、マタカ以前の話である。

30.冷凍機が高圧カット運転ー冷却水の設計水温、水量は確保されているかー

(その1)・冬季にも冷房が必要なある工場で、(水冷)パッケージ型空調機の冷却水配管に3方弁を取り付けた。(図では、冷却塔スプレイ側配管に設置)しかし冬期運転になると冷却水の循環水量が不足して高圧カットが作動した。

・冷却水ポンプのグランドからの漏水が原因であるが、冷却水系統への水の補給がなされていなかったということであり、三方弁を二方に取り替えて解決した。

(コメント)図面と解説を見ただけでは原因は良く利器できなかった。

(その2)・その1と同じような装置で、中間期に高圧カットが作動した。原因は三方弁の温度検出器取付用の短管が長すぎて、水温を正確に感知していなかった。

(その3)・5階建ての某工場は住宅地に建設して建てられている。その空調は60RTのレシプロ型冷凍機によるセントラル方式である。夜の10時まで運転することがあるので、周辺の住民より冷却塔騒音の苦情が持ち込まれた。冷却塔に遮音及び消音装置を取り付けたが、昼間の運転時に高圧カットにより運転停止した。

・騒音規制の基準がなかった時代なので、苦情が言われないように、過大な消音装置を設けた感じがする。そのため冷却塔の冷却能力が低下し、冷却水温が上昇したのが原因である。

・冷却塔騒音の内、送風機の騒音に対しては消音エルボを設け、住宅地と反対側に吐出した。冷却塔の落下水に対策としては、遮音用のルーバーのピッチが小さかったので抵抗値が大きかったので間隔を大きくした。

(その他の高圧カット事例)

①配管施工中、ヘルメチックを多量につけすぎ、コンデンサーに付着した。

②大規模建物の改修工事の際、左官屋が冷却塔の水槽で道具を洗い、モルタルが混入した。

③冷却水系統の三方弁が、異物混入のため正常に作動しなかった。

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