「空調設備トラブル事例・対策集」(日本建築設備士協会)⑮

2021年04月04日

31.水熱源ヒートポンプユニットの冷却水管でゴミ詰まりーユニットの冷却水入口にストレーナを設けているかー

・水熱源ヒートポンプユニット(以下HPUと記す)による空調システムにおいて、開放型冷却塔を使用したため、冷却水管(熱源水管)に「ゴミ」が詰まるトラブルが頻発した。設計では密閉型の冷却塔を使用することになっていた。

・水処理装置を取り付けたがあまり効果はなく、2か月ごとに配管を外して掃除を行っており大変な作業とのことである。

(コメント)予算がきつくても、譲ってはいけないことをやると、こうなるという見本である。小型ヒートポンプユニットの熱交換機の配管は6mmφである。メーカーの標準仕様を無視してはいけない。


32.フート弁のトラブルーフート弁の漏れを考慮し、対策を検討したかー

(その1)・某建物では、冷凍機容量カットのため蓄熱水槽が設けてられ手いる。一次、二次冷水配管はオープン配管で、蓄熱水槽より冷水をくみ上げている。ポンプ起動時に空運転が発生した。

・フート弁がゴミをかんだためか締め切りが悪く、水が漏れてしまい、吸込み管から空気を吸い込んだことが原因である。

・対策としては、ポンプのジヨウゴのところに給水管を設け、ポンプ起動時に空運転した場合容易に給水できるようにした。

(その2)・某建物では、地階に冷温水槽を設け冷温水ポンプで各空調機へ送水している。ポンプは各系統ごとに選定されており、最も大きいポンプの口径は200φであり、フート弁も200φである。

・竣工後、冷房運転は正常に運転され、その後の中間期は2か月運転停止した。暖房運転に入って間もなくフート弁からの漏水により揚水不可能となり、始動時に必ず給水して運転するような状況となった。この時の槽内温度は55℃~65℃であった。

・大口径のフート弁の弁座は鋳鉄製であり、錆が生じて表面が凸凹となって漏水していた。温水温度は最も腐食を進行させる水温であり、温水還り管からの気泡の溶け込みも錆の原因となった。

・対策としては弁座を砲金製とした。

(コメント)原因を聴けば「ナルホド」であるが、初めて遭遇すれば『マサカ』のトラブルである。

※フート弁を使用しない配管システムもあげられており、設計の際に十分検討すべきである。

①水中ポンプを利用する。但し、冷水槽に使用する場合はモーターの発熱が冷水温度に影響する。

②水槽の水位を考慮してポンプを設置する。ポンプ設置スペースを水槽の脇に設け、かつそのレベルを水槽よりひくくすれ良い。計画時点で考えることである。

③真空ポンプにより管内の水位を保つ。(このシステムは系統図、計装図がなければ説明できない。図面を張り付けるスキルがないので、この説明は省略する。)


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