「空調設備トラブル事例・対策集」(日本建築設備士協会)⑱
37.自動弁に関するトラブルー自動弁の選択にはシステムと機器の性能を把握せよー
(その1)給水管の振動
・某建物の地下機械室にはボイラが設置され、硬水軟化装置経由でホットウェルタンクに給水されている。高架水槽は塔屋階3階にあり、地下4階の給水圧は6kg/㎠になるので、HWT手前に水用減圧弁が設置された。ボイラが運転されると時折減圧弁付近の配管の振動が見受けられた。
・ボイラを運転すると、蒸気は空調機等に供給されHWTに戻ってくる。その際にHWTの水位の変動によりボールタップが作動して給水されるが、流量が少ないので弁が急速に閉じられ,ウォーターハンマー減少となったのである。
・還水槽の自動給水装置を、ボールタップを取りやめて電動二方弁と電極棒の組み合わせとした。これもボールタップのトラブルでもある。
(その2)三方弁の騒音
・延べ面積約10,000㎥のオフィスビルでは、ダクト併用ファンコイルユニット方式で空調されている。窓側に設置されたFCUは方位別にグルーピングされ、三方弁で制御されている。試運転時に一系統だけ三方弁の作動時に異常音を発生していた。
・この建物では配管シャフトがまっすぐに立ち上がっておらず、パイプを何回か振っているうちに配管を間違えてしまい、三方弁が混合でなく分流式に接続されていた。
・配管の往き還りを切り替えたら騒音発生はなくなった。
(その3)方式の選択の誤り
・某研究所の実験室の高温恒湿仕様は、±1℃、±2%であった。設備は10RT、加熱、過失は低圧蒸気であった。湿度制御に問題があり、±5%の偏差が生じていた。
・加湿は、電動二方弁によるON-OFF制御であったが、モジュトロールモーターの作動時間が長く(約60秒)、所定の許容範囲を超えて加湿してしまうためであった。
・対策としてはON-OFF制御を比例制御にするべきであるが、弁を絞ることで対応可能ということが分かり現状のままとなった。しかし、他の空調機で加湿されると蒸気圧が下がり、過失が不足気味となった。
(その4)温湿度のハンチング
・某工場で、ある系統の空調機の運転時間は8時から22時までであったが、暖房運転時に夜間の温度が不安定な状態となった。
・蒸気調節弁サイズの決定には流量係数Cv値によってなされるが、この値の算出のための調節弁の圧力降下を大きくとったため、Cv値が小さくなり、弁サイズも小さくなったと思われる。
(コメント)蒸気弁のサイズ決定に関する説明があるが省略する。