「空調設備トラブル事例・対策集」(日本建築設備士協会)㉑

2021年04月21日

44.高圧蒸気還水系のトラブル(その1)ー高圧蒸気の還水は計画通り戻るとは限らないー

・某病院では8kg/㎠の圧力の蒸気を熱交換機に供給、容量制御は二方弁でお混っている。凝縮水は蒸気管内と還水管内の圧力差を利用して、天井に配管された還水主管まで約3m程度押し上げるように計画された。

・実際に運転されると、外気温が上がって暖房負荷が軽減されると二方弁が閉じて凝縮水が完全に排出されないで還水管の立上り部分に滞留する。負荷変動により二方弁が開くと、凝縮水が勢い良く噴き上げ、ウォーターハンマーを起こし、還水管の吊りボルトが緩んだり、破損したりした。

・対策としては、二方弁の制御を比例制御とON-OFF制御の組み合わせとし、一気に全閉になるようにした。

45.高圧蒸気還水系のトラブル(その2)ー還水の停滞は蒸気コイルの破損を招くー

・都内の某ビルは、地上のオフィス階はファンコイルユニット方式、地階の店舗は単一ダクト方式であった。店舗系統 空調機の蒸気コイルの供給蒸気圧は2kg/㎠で、バケットトラップを設けて天井の還水管迄押し上げるようになっている。

・前例と同様に、暖房負荷が小さくなると二方弁が絞られて、充分な背圧が得られず、蒸気コイル内に凝縮水が滞留し、蒸気コイルが熱応力や腐食により破損した。

・配管レベルの変更はできないので、対策として、真空給水ポンプにて凝縮水を還水槽に戻した。









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