「空調設備トラブル事例・対策集」(日本建築設備士協会)㉙
58.ルームエアコンの騒音あれこれー取付方法や位置そして遮音を考えよ!ー
(コメント)個別空調方式の初期から室外機の騒音はトラブルのタネであった。現在は全盛時代であるからこのトラブル経験のない方は殆んどおられないと思われる。数件の事例と対応策があるが記述は省略する。室外機の設置場所に配慮することが最も重要である。特に24時間運転となる冷蔵庫・冷凍庫の室外機配置は、テナント工事となる事が多く設計者・施工者の管轄外となりやすいので注意が必要である。
59.冷却塔が煙を吸い込み冷却水のpHが低下ー冷却水の水質管理は十分かー
(コメント)この事例については「隠すことからトラブルは始まる」として、拙著に取り上げたが、この本のホテルでの発生事例、、昭和47年以前から小生の会社や恩師の設計事例その他で多く発生している。pHの低下どころか、冷凍機の配管や、冷却水配管に穴が開いた事例もある。
当時の重油はB重油であって、硫黄分が多かったのもその一因ではあるが、勿論冷却塔と煙突の配置関係への配慮不足が原因であることは言うまでもない。
60.埋設油配管が腐食破損して井戸から油が出た―環境に問題はないか、紡織は確かか!ー
・建物外部の地中に埋設した給油配管が腐食により破損して、重油が地中にもれ近隣にあったい井戸に多量に流入した。ボイラマンは以前から重油の消費量が多すぎることに気づいていたが調査はしていなかった。埋設配管の腐食した部分は、建物の雨水排水口の近くでこの部分の土壌は何時も湿った状態となっていた。また、埋設管には防食塗装がしていなかった。
(コメント)解説では、埋設管工事が手間がかかり面倒な仕事であることを述べ、紡織に対する考慮を忘れがちであることを注意している。また、腐食の発生についていろいろ説明があり参考になるが、要は施工ミスと言える。埋設配管の腐食防止措置は絶対に手抜きしてはいけない。
「空調設備トラブル事例・対策集」(日本建築設備士協会)からのトラブル事例紹介はここまでであるが、殆どの事例を取り上げてしまった、諸兄の参考になれば幸いである。