「空調設備トラブル事例・対策集」(日本建築設備士協会)⑥

2021年03月05日

8.ダンパに関するトラブルーダンパの位置や取扱いは明記されているかー

(その1)暖房時に風量を絞った為、パッケージ型空調機のコイルが凍結。

・某住宅では、地下機械室にパッケージ型空調機(温水コイル組込み型)と小型ボイラを設け、ダクト方式で空調していた。初夏に冷房関係の試運転をしたら、パッケージが高圧カットで停止し、冷却コイルも凍結していた。

・原因は暖房時にスライドダンパーを閉じて風量を絞っていたため、冷却コイルが凍結したのである。対策としては運転要領書を作成して引き渡しした。

(コメント)似たような話は、筆者の著書にある。暖房時に暑いということでダンパーを絞り、夏に冷房が効かないというトラブルである。

(その2)食品工場の低温作業室用空調機で、ダンパーからのリークで温度が下がらない。

・某食品工場の低温作業室では、冷媒コイル+デフロスト用の電気ヒーター×2セットと送風機を組み合わせた空調装置で冷却している。連続作業を行うためにはデフロストが必要なのでダンパを開閉し冷却器を交互に使用するようにしたが、実際の運転時には温度が下がらなかった。

・閉じた側のダンパーからのリークで、デフロスト側の温かい空気が、混合したせいであった。

・制度の良いダンパーと交換したが、完全には解決されていないとの事。このようなシステムには、直膨コイルを直接室内に取りつけた方が良いとの事である。

(その3)無塵室に大量の蚊の侵入

・某電子メーカーの無塵室の空調機は全日運転であった。お盆休みに運転を止めたら蚊の大群が浸入し、その死骸が散乱した。原因は外気取入れ口より、還気ダクトを通り室内に侵入したのである。対策としては、装置の停止時には還気ダクトのダンパーを閉じることとした。

・もう一つの原因は、外気取入れ側のフィルターが電気集塵機(図にはエアフィルターなし)であった事で、ろ過式のフィルターの取替えたとの事。


9.ダクトのリークによるトラブルーダクトの漏れをどの程度考慮したかー

・某工場の建物内には、プレハブ製の実験用低温室があった。これを高音高湿室(60℃、90%)にすべく装置を取り付けたが、加熱器、加湿器は立ち上がり時間を考慮して容量を大きくしてあったにも関わらず、運転結果は思わしくなかった。

・原因はボタンパンチにより製作されていたダクトのリークであった。一般空調と比べ室内条件は非常に厳しい、従って温湿度条件の異なる吸込み側の侵入空気の装置への影響は大きく、また吹出し側のリークはカバーのため送風温度は上がるが、湿度の方には限度がある。

・対策としては、ダクトと壁貫通部の電線管をシールした。



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