「空調設備トラブル事例・対策集」(日本建築設備士協会)⑧
13.吹出し口フェイスの結露(その1:地下街)ー外気の侵入を考え、対策を十分検討したかー
・某地下街は、地上との連絡階段が随所に設けられている、》そのため外部の空気が階段を通して侵入し、吹出し口に触れてファイスの部分に結露を生じる。
・対策➀:地下街を正圧に保ち、地下街の空気が外部に向かって流れる等にする。しかし地上の突風、地下鉄の列車風などの影響で外気の侵入を防ぐのは難しい。
・対策②:フェイス自体の結露防止を図る。フェイスの表面温度を外気の露天温度以上とする。
(誘引吹出し)室内空気を一部誘引して、吹出し温度及び吹出し口表面温度を上げる。
(フェイスの断熱処理)給気ダクトとフェイスの間に断熱材を挿入し熱の移動をなくす。この方法で対策を行った。
(コメント)フェイスは冷房用給気によっても冷やされるので、対策案は若干疑問である。(図面説明なし)沖縄の事例で吹出し口に薄い断熱材を貼り付けた事例を聴いている。
14.吹出し口フェイスの結露(その2:地階レストラン)ー 吹出し温度を室内空気の露点温度より低くできるのは、2~3℃が限度!ー
・地下階にあるレストランで、パッケージ型空調機による単一ダクト方式の空調設備で、ユニバーサル型吹出し口の額縁に結露食事中の客に水滴が垂れ落ちた。
・対策としては吹出し口の額縁部分に5m/mのモルトプレンを張った。
・一般的に地階のレストランでは、日射負荷がなく外壁負荷も小さいためSHFが低くなりやすい。その結果吹出し温度が室内露点温度よりも低くなるため、吹出し口結露が起こりやすい。対策としては、レヒーターコントロルやコイルバイパスが必要である。
15.重い空気の排気ー特殊ガスの排気は排気口の位置、材質を考慮せよー
・某病院の中央検査室系統の空調は単一ダクト方式であった。
・各検査室及び洗浄室は薬品の臭気を考慮し、給気量の1/3を天井吸込みで排気している。
・ある検査室で薬品独特の刺激臭で悩まされていた。(薬品名省略。後述)
・使用薬品からの蒸発ガスは空気より重いため床面付近に滞留し、天井面吸込み口からはなかなか排出されなかった。対策として排気ダクトを改修して床面吸込みとした。
・解説では、アルコール、エーテル、キシロール、フェノール、クレゾール、ホルマリン、酢酸の空気密度が空気より大きいことが表示されている他、ダクト材質に注意する事、ガスにより排出空気の比重が重くなるため摩擦損失に余裕を見ておく事がしてきされている。