「給排水設備トラブル事例・対策集」(日本建築設備士協会)⑩
23. 中央式給湯設備で、給・返湯管に量水器を付けて失敗ー量水器には正確な指針を示す流量範囲があるー
・都心の高級集合住宅の、ボイラ+貯湯槽方式のセントラル給湯方式には、各住戸への給湯管、返湯管に計量器(翼車型)がつけられていた。竣工後約1年経過して、不在勝ちの世帯や家族の少ない世帯から給湯料金が払いすぎではないかとのクレームが続出した。
・原因としては計量器の流水抵抗が大きいことや、返答管からの逆流などがあげられており、対策としては住戸内の返答管と量水器を撤去した。
(コメント①)昭和40年末ごろから建設された高級マンションで見られた事例である。ホテルなどの給湯方式と同様、使用時に即応できるように給湯管と返湯管を、必要箇所まで延長しそのため量水器が2か所必要となったたものと思われ。給湯必要時間は湯張りで20分程度、入浴時、洗面時、台所仕事の開栓時間は合計しても1時間程度かと思われる。中央方式ではお湯は24時間運転されている。したがって誤差の範囲を超えているのでクレームになったものと思われる。ちなみに筆者がそのころ設計した高級アパートでは使用量は家族数で決めていた。現在ではセントラル方式の集合住宅の計量は、給湯往管のみに付けられている。
24. 給湯配管の青銅製バルブが腐食ー銅と青銅でも腐食は起こるー
・解説省略
25. 給湯管に銅管を使ったのに赤錆ー使用機器の水に接する部分の材料もチェックを!ー
・一にゅうk般住宅の中央給湯方式で、給湯ボイラは一般の温水缶、配管は2管式で、銅管を使用した。入居後2か月後あたりから、灰白色の金属性粉末が、その後赤錆が出るようになった。
・温水缶の貯湯部分の内面が亜鉛めっきのため、イオン化傾向は銅の方が低いので亜鉛が溶け出し、その後鉄の地肌が表れて赤錆に発生となったものである。
・対策として、給湯設備の給水側に防錆剤の点滴装置を取り付けたとの事。
(コメント)当時の温水缶は暖房用であったと記憶しているので当然の結果であろう。現在の給湯用の熱源機は、銅の缶体のもの、銅製コイルで熱交換するもの等々腐食対応されているものが多い。