「給排水設備トラブル事例・対策集」(日本建築設備士協会)⑭
34. 小型温水ボイラの膨張管の漏水ーラッキングした管の上には乗るなー
・住宅の給湯用温水ボイラの膨張管は、屋上に露出配管で立ち上がっている。屋外配管は保温被覆の上にらっきんぐしあげとなっている。外気温が-5℃に下がった後に、ボイラの膨張管被覆からの漏水が見られた。
・漏水が配管を伝わって、上からということで調査、屋上横走り部分に亀裂があった。
・原因は、人に踏まれてラッキングが破損し、雨水の侵入により保温力が低下し、管内の水の凍結により配管が破損したものとh判断された。
(コメント)屋上膨張管の保温が不備であっても、膨張竪管内で温水・冷水が入れ替わるので凍結には至らない。(エネルギーの無駄遣いではあるが。)この事例では、屋上横引き配管が長く、人に踏まれたために勾配が逆に近くなり、凍結しやすくなったものと思われる。設計上の事情があったものと思われるが、膨張タンク(膨張管)はできるだけボイラや温水器の直上部に設置することが望ましい、位置がずれる場合は、横管は屋上階露出ではなく、凍結の恐れのない下の階で展開した方が良い。
35. 排水管の排水先の未確認による漏水ー工事中の設計変更の連絡は確実にー
・延べ面積約9,500㎥、地下1階、地上11階の事務所ビルで、セットバック10階の屋上階から漏水事故が起こった。原因は11階だけに設置されていたスプリンクラー設備の末端試験弁からの排水であった。排出先は10階の屋上であったが、工事中の施主からの要望で、壁の見切り部分にコンクリートで腰掛を作ることになり、この空間に排出されることになり、防水もないので漏水したのである。(図面があればすぐ理解していただけるのですが・・・・)
36. 掃除用プラグの閉め忘れによる漏水ー配管テスト後の処置は確実に、早く行えー
・地下1階、地上9階、延べ面積約5000㎥の事務所ビルの1階に湯沸かし室があり、その配水はB1F天井内から屋外の公設桝に接続されていた。
・このビルは毛織物業者が使用しており、地階は倉庫で絨毯が保管されていた。竣工半年後絨毯を搬出しようとしたところ、水を吸い込んで商品にならないjぷ体であった。
・原因は排水横管部、上階竪管の管末での掃除用プラグの締め忘れであった。
(コメント)このトラブルは結構あるようで、小生の著書にも紹介されている。通常は漏水はすぐのわかるが、この事例では毛織物に吸収されてすぐに表に出なかったのが問題であった。