「給排水設備トラブル事例・対策集」(日本建築設備士協会)⑳
52. 衛生器具取付上のトラブルー衛生器具の取付は確実にー
・某設備業者の調査によると、衛生設備における故障の発生順位で最も多いのは、排水詰まりであった。
・その1 洋風大便器:ボールペン、シャープペンによる排水詰まりが多いほか、床フランジ部のガスケットが排水管内部にはみ出しているための排水詰まりが度々起っているということである。
・その2 和風大便器:和風大便器をコンクリートスラブに埋め込む際には、コンクリートの圧縮膨張、建物のゆがみなどによる亀裂を塞ぐため、便器全体に緩衝材を塗布させる必要がある。
・その3 ストール小便器:便所が換気されているにも関わらず、常に臭気が漂うというクレームで調査したところ、小便器にトラップがついていなかったためと判明した。
(コメント)いくら昔の話といっても、トラップのない衛生器具があったとは『マサカ』の話である。但し、初期のマンションの厨房流しにはトラップがなく、排水管でトラップを構成した。
53. 住宅の浴室で床排水が逆流ー床排水の取付位置に注意せよー
・その1:浴室・浴槽レベルが行く外の外釜レベルより高く、排水時に外釜付近の床排水口より溢れた。対策としては、各排水口より単独で屋外の排水桝に接続した。
・その2:住宅で、木製浴槽を設置するピットで、排水目皿が毛髪等で詰まり、浴槽排水を流しても流れなくなった。しかもピット排水目皿の掃除が出来ず、浴槽を持ち出して清掃した。このような場合は、浴槽設置用ピット排水は、メンテナンスできるように計画しなければならない。
54.二重トラップによるサイフォン式大便器の排水不良
・地階便所の排水管の管端が排水槽のレベル以下であった為、大便器の封水面の上昇で溢れそうになったり、洗面器や小便器のトラップがゴボゴボ音を立てた。二重トラップになったためである。
・排水管の排水槽への立下りエルボをTY管として(上部開放)二重トラップをなくした。