「給排水設備トラブル事例・対策集」(日本建築設備士協会)⑥
11.送水管のサイホン現象による水槽からの溢水
ーポンプは停止していても水は通じているー
・起伏のある広大な敷地に建設された某宗教団体の集会施設の雑用水は井水を利用していた。事故は建物地下にある井水受水槽に送水した際に発生した。水がマンホールより溢れ床に溢水した。送水ポンプのバルブを閉鎖して溢水が止まった。
・井水の一次受水槽(沈砂槽)は受水槽より高い位置にあった。従って建物の受水槽が満水となって送水ポンプが停止しても、配管が凸上であったため、サイホン現象により高いところにある沈砂槽から水が供給されたためである。また、沈砂槽からの給水ポンプが水中ポンプであったのも水が流れやすかったゆえんである。
・対策としては、凸配管の頂部に逆止弁を取り付け、ポンプ停止時に配管内に給気する事とした。
・その他同様な現象として、①スプリンクラー消火ポンプの逃がし配管より、サイホン作用で呼水槽の補給水が流れ続けた事例、②給湯用膨張管で給湯開始時に膨張した湯が溢れて連蔵排水した事例、衛生器具排水時の逆サイホン現象についての解説があった。
コメント:サイホン現象は小・中学生の理科の話のレベルであるが、大規模施設の設計・施工の際には気が付かないのが困る。
12. 給水引き込み管と、受水槽からの溢水ー解放管路内の残溜水は意外と多いー
・大規模室内競技場施設で、躯体利用の受水槽は200m3、水道引込管は150mmでピット内配管である。給水引込管の主弁は引き込み位置の近くにあり、受水槽からは約20m離れている。
・連続的に水が使用されている場合はm問題がないが、断続的に使われる場合に溢水が多くなる。
・受水槽のレベルにより主弁を開閉しているが、水位の変動の際に給水主管内の残流水が受水槽内に流入し、溢水したものである。
・満水位と溢水位のレベル差を大きくし、満水警報を設置した。
コメント:『マサカ』の話ではあるが、ありうる話である。給水主弁をなぜ受水槽近くに設置できなかったのかは疑問である。
13.洗浄タンクの高さ不足によるサイホンの不作動
―洗浄間の流水抵抗お及びエアロックに注意ー
・状況は、小便器の洗浄タンク方式による自動洗浄方式で、サイホンを起こさずにタンクからの溢水することである。
※これについては、現象・原因・対策についての解説が良く理解できなかったので、専門家に問い合わせした上で、後日書き込むこととする。