「給排水設備:新トラブル事例・対策集」(日本建築設備士協会編)⑫
2021年08月23日
24.ストレージタンクの外部割れによる漏水
(コメント)タイトルとトラブル内容が違っている。実際は逃し弁口の鉄製ニップルの腐食による漏水とその2次災害である。
- タンク材質はSUS304で、犠牲陽極が付けられている。
- ストレージタンク上部の、水逃し弁口のニップルに鉄製の物を使ったため、これが腐食漏水した。また、保温材のグラスウールに含まれている塩素イオンがこの漏水に溶出し、夭折日に反応したので熱応力による腐食割れを生じた。
- 対策としては、鉄製ニップルのSUS304に取替え、艦隊の労使箇所にはエポキシ系接着剤(商品名デブコン)を塗布した。
25.ソーラーパネルの凍結事故
- 九州の某病院屋上設置のソーラーパネルによる給湯設備は、以下のように凍結防止策が講じられていたが、パネルの凍結破損事故が発生した。
➀パネル表面温度が12℃以上にならないと集熱運転しない。(集熱回路循環ポンプがバイパス運転する)
- 集熱回路循環水が5℃に下がると循環水の水抜きを行う。
- 水抜き動作時の、排水電磁弁や空気抜弁の作動状況を確認したが異常は認められず、原因は特定できなかったが、下記が想定された。
- 停電による排水電磁弁の作動不良
- ゴミなどの詰りによる、一時的な排水電磁弁の作動不良。
- 挿入サーモが設定温度(5℃)まで下がる間に、排水電磁弁周りで局部的な温度低下があった。
- 排水電磁弁を整備し、ゴミ詰りなどのないことを確認し、弁類の保温仕様を強化した。
(解説)冬期の配管等の表面温度は、大気輻射の影響で外気温度より3℃程度低くなる。
また、風による温度低下もある。停電対策も考慮の必要がある。
26.集合住宅の床転がし配管から漏水
- 集合住宅の住戸で、入居後数か月で漏水事故が発生した。
- 床下の給水管と給湯管の交差部で給湯管からの漏水が発見された。交差部では、給湯被覆銅管が無理に曲げられており、管の座屈により生じたクラックが管の伸縮により進行したものである。
(コメント)これは集合住宅でよくみられるトラブルである