「給排水設備:新トラブル事例・対策集」(日本建築設備士協会編)⑭
2021年08月31日
30.流し用混合水栓の接続部分の漏水
- 給湯用被覆銅管の床配管がシンダー内埋設であったため、同館の伸縮の繰返しで差し込み継手のゴムパッキンに隙間が生じて、入居後1年で漏水。
- 対策として、差し込み式の接続方法を、折り返し付きレジューサーの使用とするなどを述べているが、設計者としてはマンションで何故床転がし配管としなかったのか疑問である。試行錯誤の時代であったろうか?
31.貯湯式電気温水器の絶縁管の破損
- 某間の住戸専用貯湯式電気温水ボイラにおいて、絶縁用に設置されたHT管継手の破損、ヘヤークラックの発生により320軒中6軒で漏水した。ボイラの給水圧は2㎏/㎠、サーモの設定は60℃で停止であったが、ボイラ上部温度は80~85℃であった。
- 原因は継手部の構造にあり、継手差し込み部の金属とそれを覆うプラスティックの関係について詳しく解説されているが、要は、長期間高温状態で使用された結果の、樹脂表面劣化と、直管部からの熱応力である。
- 対策としては、設定温度が70℃まで可能であったものを60℃に固定し、HT管の継手を銅管とした。
(コメント)貯湯式温水器はあまり使用したことはなかったが、70℃迄設定可能な品があったとは初耳である。給排水設備の専門家に確認したい。
33.湯屋かカランを使わずに湯の無駄使い
- 某銀行独身寮の浴室で、上がり湯系統に貯湯式の給湯器を使用して、湯量不足の苦情となった。
- 入浴中湯を出したままにしていることがあり、カランを湯屋カランに変えた。
(コメント)解説では、モラルの問題でもあるが、ある程度まとまった人が利用する場合はこのような可能性があるとの事。同感である。
34.給湯設備ピーク時の水量不足による断水
- ある工場の浴場で、ピーク時を想定して大きめな湯量で設計したが、竣工後湯量不足となった。
- 入浴状況:ピーク時80人/H、胴長水栓 13A 給水・給湯各20ケ、シャワー 5ケ
給湯栓は平均15~18個は開栓のまま使用
- 対策:胴長水栓を自閉水栓に取替え、ミキシングバルブを設けて登記45℃、夏期40℃とした。
(コメント)この話は、設備屋の常識であるから、現役時代には全く経験していない。