「給排水設備:新トラブル事例・対策集」(日本建築設備士協会編)⑮

2021年09月04日

前回までは、給湯設備のトラブル紹介であった、今回からは排水設備のトラブル紹介である。今までの給水・給湯設備トラブルの紹介で気が付かれたかと思うが、この書では良くある『マタカ』のトラブルを主として取上げている。解説は詳しく、基本的な問題点を指摘しており参考になるが、このブログでは小生が要約している。

35.跳水によって堆積した用便紙が会所枡出口を封鎖。

  • 集合住宅で、会所枡をつなぐ横走り管が、閉塞して会所枡からの溢水事故となった。
  • いくつかの会所枡で、用便紙が跳水現象により会所内に堆積し、大きくなるとはがれ落ちて、会所内の流出口を塞いだ。
  • 原因は排水竪管と会所枡との距離が近く、跳水の影響を受けやすいためであった。
  • 対策として、会所内の排水が流れる部分の上にアクリル製跳水防止板を設けた。用便紙は板の裏に付着はするが、湿潤状態にあるので大きくならないうちに剥がれ落ちたり、跳水の際に運びさられる。
  • 解説では会所枡について、留意事項を上げ、この対策は応急処置であると述べてある。

(コメント)長年多くの物件で竣工検査を行ってきたが、会所枡での手直しの指摘は殆んど記憶していない。留意事項のうち「跳水の起こる竪管底部から1~1.5mの部分には会所枡を設けない」が最も重要である。

36.集合住宅雑排水系統におけるビニル管継手ひび割れ事故による漏水。

  • 原因は熱応力による継手の亀裂であり、対策として伸縮給水継手を挿入する事とある。

(コメント)筆者は経験ないが、マンションブームとビニール管継手の普及に伴いよくあった事故である。

37.立軸型排水ポンプの吸込み管長不足による汚水槽からの臭気発生

(コメント)これだけですぐには分からない。要は排水ポンプの吸込み口が、汚水槽の中空にぶら下がっていたという事で、下に貯留した汚物が腐敗して臭気トラブルになったというお粗末な話である。ポンプのレベルを下げても、完全には排出できない。

建築基準法で排水槽の構造が決められる以前のお話である。

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