「給排水設備:新トラブル事例・対策集」(日本建築設備士協会編)⑰
2021年09月11日
41.台所からのグリースによる排水管の閉塞
- 5階建ての集合住宅で、1階はピロティで、台所からの排水は4戸分をまとめて1系統となっている。竣工数年後に排水が逆流した。調査の結果、1階排水管にグリースが大量に溜まっていた。
- 排水管1階の横管の管径は50mmで、1階がピロティのため、天井で横に大きく振ってから立下り、床上配管で元の位置に戻るような配管になっている。床上横走り管にグr-巣が溜まったのである。
- 関係を80mmに替え、竪管位置についても変更した。
(コメント)初期のマンショントラブルである。厨房排水竪管は、概ねスラブの中ほどになる事が多く、ピロティに真っ直ぐに下ろせず、横に振らなければならない。この距離が長かったのであろう。
42.マンション1回の器具トラップの封水切れ
- 某マンションの1階で、器具トラップの封水が時々誘引され、破封まではいかないがゴボゴボ騒音で困るというクレームがあった。
- 1階器具の排水をまとめた枝管が、2階以上の排水竪管をまとめた排水横主管に、竪管から1.5mほどの位置で接続されていた。1階排水横管には通気管がなかった。
- 対策としては、1階の器具の排水管に器具ごと(1)の各戸通気管を設けた。
(コメント)これも、マンションブーム初期のトラブルであるが、ドルゴ通気は我が国に入ってきていたのであろうか?
現在は、マンションでの最下階排水系統は他の階とは別系統として、屋外で接続するのが常識であるが、この様になっていないマンションもあって、筆者の身内の新築マンションでは降雨時の逆流が2回あった。(半地下住宅であるのでこの原因とは違う)
43.塩ビ製排水ポンプのインペラが変形し排水槽の排水が不能となった。
(コメント)原因が複雑なので後日記入する。
44.排水管のつまりと封水破壊
- 昭和53年竣工の8階建マンション(排水竪管3系統、伸頂通気、1F天井内で合流)で58年1月に上階の排水が3階の流しに逆流して吹き上げた
- 竣工後排水管洗浄は行っていなかったので洗浄したが、3階流しのトラップ出ゴボゴボ音がして室内に臭気が出た。原因は各竪管系統ごとの通気立管と結合通気がなかったためと、
流しの排水トラップが基準値50mmを満足していなかった。
- 流しの排水トラップを50mmの物に取替え、この系統の排水管を単独系統とした。
(コメント)マンションブーム初期の流しに排水トラップがない事例を述べたが、この時代にこのようなものがあったとは驚きである。