「給排水設備:新トラブル事例・対策集」(日本建築設備士協会編)⑲
2021年09月18日
48.ウォーターハンマーによる排水管の破損
- 某事務所ビル、地下3階床下ピット湧水排水設備で、水中ポンプ停止時に、ウォーターハンマーが発生し、折損・漏水した。
- 配管系統は、ポンプより白ガス管で18m立ち上げ、49m横引きし、エルボで90度曲げ、バルブソケット経由でVPにて排水桝に接続した。このバルブソケットが折損したのである。
- ポンプ直情のチャッキ弁は、スイング型であったため、ポンプ停止時にウォーターハンマーを起こしたのである。
- チャッキ弁をウォーターハンマー防止型に変更、VPをSGPに取り替え、ポンプ出口と排水桝手前にフレキシブルジョイントを挿入した。
- 排水ポンプの揚程が20m程度であったが、横引き配管が長い場合は、ポンプ停止時の水中分離によってウォーターハンマーが発生することがあるという教訓的事例である。
49.和風大便器の結露
- 某事務所ビルで、竣工3年後の夏に、和風大便器直下の便所天井に、漏水のようなシミが生じた。原因は、和風大便器の直近に、天井内換気用のガラリ(ガラリのみ)が設置されていて、大便器トラップ部分に結露したためであった。対策としてはトラップ部にアスファルトジュートを添付して、断熱を行った。
(コメント)考察では、別の原因として、給水が直結方式で給水温度は低く、漏水発生階は使用頻度の高い階に多く、トラップ部に常に新しい水が供給されていたためとあった。
結露という単純なトラブルでも、これらの要因が重複しないと発生しないという事で、大変参考になる事例である。
50.便所内給排水管の地盤沈下による破損
- 給水使用量が大きいという事で調査の結果、土間コンクリートスラブの便所の床下で給水管の漏水、破損があった、排水管も脱落破損して正常に流れない状態であった。
- 原因は土間スラブ下に配管したことであり。
(コメント)筆者は現役時代に土間下配管は行ったことがない。必ず配管ピットを作ってもらっていた。建築設計者によっては、「地中梁分は埋戻ししないから、配管スペースは確保できるだろう」という者もいたが、「配管工が配管の補修の際に泥の上で作業するようなかわいそうなことはできない」と説得したこともある。