「給排水設備:新トラブル事例・対策集」(日本建築設備士協会編)㉑

2021年09月26日

54.スプリンクラーヘッド感熱体のクリープ破断

  • 竣工後数年を経た百貨店で、光天井アクリル板下面に設置されたマルチタイプのスプリンクラーヘッドから漏水し、賞品やじゅうたんを濡らす事故となった。
  • 原因は感熱体のクリープ破断が原因であることが分かった。クリープ破断の要因は、➀ヘッドの周囲温度が40℃以上になったとき、②感熱体への外部からの衝撃、③凍結時の内部からの圧力であるが、最近テナントの改修工事があったので、上記の②と結論付けられている。

(コメント)直接の原因は②であろうが、光天井照明の熱により、クリープ変形が進んでいた可能性が大きいと思われる。

55.消火ポンプを散水ポンプとして運転したら、吐出管が振動した。

  • 某スポーツセンターの屋内競技場は人工芝を使用しているが、散水設備がなく、屋内消火栓ポンプを散水用ポンプの代替えとして使用している。ポンプを運転すると吐出管の上部及び水平部分が振動する。
  • 吐出圧力は8kgf/㎠となり、ポンプ駆動時の反力が吐出管に作用していた。

(コメント)対策として固定金物を取付けるのは当然であるが、このような使い方をする場合の、水量・水圧についての記述がない。散水栓をどの程度同時開放したのか不明であるが、消火栓の水量・水圧が大きすぎるのが原因であろう。

56.二つのプールの循環水量がアンバランス

  • 子供用プールの塩素濃度が大になり、幼児が目の痛みを訴えた。弁操作により子供用プールへの吐水量を減らしたが、一般用プールから溢水し調整しきれなかった。
  • 子供用(渡しょう)プールは遊泳人員が多いので、水の循環回数が多いためである。

一般用プールの返り管の径が細いことも分かった。

対策としては滅菌配管を手直しして、薬注量を調節した。

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