「給排水設備:新トラブル事例・対策集」(日本建築設備士協会編)⑨
2021年08月15日
13.硬質塩化ビニル製バルブソケットの破損
- 某マンション、竣工2年目の事故である。塩化ビニルの給水管は壁に固定されており、湯水混合水栓の熱伝導による給水管の伸縮により破損となったもの。
- 対策としては、配管位置をずらしフレキシブル継手を挿入した。
(コメント)現在は、ユニットバス付属配管はユニットバス工事となっているが、図面から見ると、初期のころは給排水設備工事(水栓含むかは不明)であったようである。また混合水栓もあまり使われていなかったので、熱伝導による伸縮については思い至らなかったのであろう。
14,給水・給湯配管の漏水
- 衛生設備水栓器具類の差し込み接続部からの漏水や管が抜けるという『マタカ』の話。
- 原因と対策については、器具取付の手順に至るまで詳述されているが省略する。
15.圧力タンクの容量不足のためにポンプモーターが焼損。
- ポンプ2台(1台予備)の圧力タンク給水装置で、設置後10カ月で、ポンプモーターの損傷事故が起きた。ポンプは100A×57m×18.5kW(4P)で、動力盤のスターデルタ用のマグネットスイッチが溶着していた。
- 原因は、当初設計の並列交互運転を、使用水量の増加により2台同時運転にしたためであった。給水能力は満足していたが、圧力タンクの容量が不足気味となって、ポンプの起動・停止が激しくなったためである。
(コメント)解説にもあるが、圧力タンク方式の場合は、時間と共に水槽内の空気が水に溶解したりして、空気量が不足して圧力変動が激しくなって、本事例のような事故となる。小生は、事故以前にポンプ運転時のガタツキ音に立ち会った。メーカーに電話して取扱説明書にある、タンクへの空気供給方法を行って対応した。マンション管理人はこの方法を知らなかったので、定期的な対応をお願いした。
16.吸込み管の配管替えによるポンプ吐出量の減少。
- タイトルだけでは、何のことか分からない。改修により雑用水槽位置が変わって、配管距離が長くなり、水槽のレベルも一階分下になったとの事であるから水の出が悪くなるのは当然で、お粗末なトラブルである。キャビテーションを起こさなかっただけ良かった。
- 対策としては、ポンプ位置を変えられなかったので吸込み管径の増径で対応したとの事。レベル差4.5mもカバーできたようで、運が良かったと言う他ない。