「設備工事の失敗例と対策」電気設備編②
3.1.5 パイプペンダントと塵埃
-蛍光灯の笠の上の埃で事故-
これもやってはいけない電気設備の常識である。病院の厨房で、電力費が得であるということで天井付きの逆富士照明がパイプペンダント式の照明器具に変えられた。
半年ほど経ってから、照明器具の傘の上の埃が料理に混入し、患者が吐き気を催した。
勿論照明は設計通りに戻されたが、竣工後しばらく経ってから事故が発生するのが困る。
設計と監理が別の事務所であったことも原因の一つである。
3.1.6 魚のショーケースで感電
和食飲食店で背の高いショーケースが設置された。上からの照明だけでは下の方が暗いということで、電気工事店により底の方に水中照明が増設され、完全防水器具であったが、水中に立ち下げた器材に漏電箇所があり、店主が感電した。
水中照明は噴水などでもまれに感電事故が発生することがあるそうである。
3.1.7 照明グローブに水が溜まった
田舎風の大梁が丸出しの家で、天井に張り巡らされたコンジットチュー内にジャンクションボックスから湿気が入り込み、夜になると煙出しから冷気が入ってチューブ内の湿気が結露し照明グローブ内にわずかであるが水がたまる。電灯の熱で蒸発するだろうと放って置いたら、親戚が集まって湯豆腐料理を食べた際に、翌朝グローブ内に50㏄程度の水がたまった。翌年煙出しを1mほど高くしたらその心配はなくなったとの事。
『マサカ』の話にある、「電線管に蒸気が流れる」の別事例である。
3.1.8 避難スロープの先の照明ポールで怪我をする
北欧での参考事例である。避難用スロープ病院、身障者施設、保育園などに設けられることがあるが、避難訓練が行われた際にトラブルが発生した。
突然の警報に沢山の車いすがスロープを急降下した。訓練を2~3回受けた者はうまく下降して止まったが、新入者は車いすのブレーキ操作がまずく、スロープの先にあった照明用のポールに突き当たって数名がケガした。こんな遠くまで来るはずがないと考えたのが失敗のもとであった。