『設備技術者の修行時代②』-2

2021年12月04日

充実していた技術情報管理:

技術部門には以前から技術庶務課という技術情報を管理する専門部署があった。色々な雑誌等に発表された、業務に関する技術情報はいつでも青図にコピーできるようにA4版にまとめられていた。ゼロックスの無い時代であるから、マイクロフィルムから起こしたのであろうが、筆者が入社した時点でも沢山の資料がテーマ別に分類されて検索しやすいように整理されていた。筆者も随分利用させてもらった。当時は当たり前の事と思っていたが、これは現在でも結構大変なことである。又、後日竣工現場の完成工事報告書を書いたが、8ページもある大部なもので、設計情報ばかりでなく工事情報やその他の情報もまとめるようになっていた。今思えば流石に技術を大切にする会社だけの事はある。

偉い方の海外出張もキチンと報告書が作られ、新入社員たちにも配布された。空調学会への入会も勿論会社負担で全てやってくれた。

その後テーマを決めて全社的な技術ゼミナールが行なわれるようになり、その報告書も皆に配布された。この会議では部長から若手まで色々な観点から生情報が交換され、現場でのトラブルや問題点も遠慮なく提出されるので非常に参考になった。特に事務所ビル・商業施設・ホテル等建物の種別に行われた会議の資料はその後設計事務所に行く事になって大変役立った。(このゼミは現在も続けられているとのことである)

はじめての現場:

 某大型施設の現場が始まりここに常駐することになった。風量測定をやったホテルの現場次席のNさんと一緒であった。設計はT工業の元社長さんの設備設計事務所で担当の方が時々現場に来て、施工側の設計担当I係長と打ち合わせをしていた。僕の最初の仕事は設計図を読むことで、配管図やダクト図を色鉛筆で塗りわけ系統を追っていった。システムがどうなっているのかを知るにはこの方法が一番良いが、困ったのは配管やダクトが途中で繋がっていない事であった。新人の僕は大変なことになっていると思ったが、Nさんは「そんなこともあるよ」といった動じない風情で、今考えればずいぶん若かったはずであるがさすがベテランと頼りになる印象を受けた。勿論打合せ会等で問題点は指摘されていたであろうが・・・。

その他現場が大きく毎日のように地中梁の施工図が上がってくるので、蓄熱槽用スリーブのチェックに追われた。このまま行けば会社における人生も違ったものになっていたであろうが、後述のように分室事務所の発足に伴い、そちらで新しいビルの現場に行くこととなった。

((有)環境設備コンサルタント  代表取締役  〔ヤマモト ヒロシ〕)

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