コロナウイルス対策についての考察⑤~クルーズ船
コロナウィルスの感染に関しては、クルーズ船ダイアモンドプリンセス号での船内感染のチェックから話が始まっている。感染経路に関しては、飛沫感染、空気感染いずれの場合も換気設備のシステム・グレードが関係するが、空気感染の可能性はないとの事であるので、換気・空調システムが原因ではなさそうである。
ここでは、長期の滞在空間であるクルーズ船の特徴と今回の感染拡大の関係について述べる。
なお、技術誌への発表によれば客室の空調方式は全空気方式であり、外気と還気(レタン空気)を冷却・加熱して客室に送風している。外気分の風量はシャワー室から排気されている。
一般ビルで、クルーズ船と比較できる建物は大型ホテルである。但し同じ数の宿泊者数であっても、使われ方や、形態の違いにより、クルーズ船の方が感染率は高いと思われる。
以下に説明を行う。
- 居住空間か滞在空間か
:クルーズ船は居住空間であり、ホテルの場合は滞在空間といえる。したがってクルーズ船の方が感染の確率は高くなる。
- 客の年齢層は高いか低いか
:比べるまでもなくクルーズ船の客の平均年理想は高い。
- 縦動線か横動線か
:同じ規模のホテルの場合は概ね大型高層ホテルであろう。したがって、移動はエレベーターによることが多い。クルーズ船は横に長く客の移動は廊下である。しかもお年寄りが多いので手すりに頼ることが多く、接触感染の可能性が大きくなる。
- 中央の吹き抜けと各階の施設
:クルーズ船のほぼ中央部には5~6フロアー吹き抜けとなる空間がある。吹き抜けの最下階では色々なイベントをやっているので、乗客は各階から下を覗いて楽しむことが出来る。当然手すりに寄りかかるので接触感染となる。
:食堂、バー、喫茶コーナー、各種店舗、カジノ、イベントホール、会議室等は各階に分散している。ホテルと比べ階高が低いので、移動はエレベーターよりも階段を使うことが多くなる。当然手すりは使用される。
という事で、構造的には、クルーズ船はこのような伝染病に対しては、感染防止について弱いことが分かる。