ビルの省エネチューニング㉘

2022年10月23日

この項は、連載記事のピックアップである。連載記事をそのまま載せたら大変なボリュームになる。但し、どの様な経緯で省エネチューニングが始まったかについては、若干言葉足らずである。この項を閉じるにあたり、この項の連載の初めに載せたものを、掲載する。

◆省エネチューニング事始め

ECCJは、「エネルギーの適正な利用の推進を本旨とする省エネルギー技術、知識の総合的な普及啓発に努めることにより、国民生活及び産業活動の改善向上に資し、もって国民経済の健全な発展に寄与することを目的」(ECCJホームページより)として昭和53年に設立され、省エネルギーに関すさまざまな活動・事業を行っているのは皆様ご存じのところである。

筆者の勤務した部門は当時のエネルギー環境技術本部技術部ビル調査グループで、平成13年に「ビルの省エネ対策検討委員会」を設置して、生産施設に比べて遅れている業務用建築物の省エネ推進のための活動を行っている部門であった。

 平成15年の調査研究目標は、前年度までの業務用ビルのエネルギー消費量の調査分析等の実績を踏まえて、以下のようなものであった。①事務所ビル以外の業務用建築物におけるエネルギー使用状況に関する調査、②事務所建築物におけるエネルギー使用状況に関する分析、③事務所ビル運用状況の調査~チューニングによる省エネルギー効果の検証~、④事務所建築物における原単位管理ツールの構築・作成であった。

この成果は、報告書として当時の資源エネルギー庁その他関係部署に提出され、省エネチューニング効果の主だったものは、ECCJの省エネパンフレットやホームページで紹介されている。

新築ビルに関しては、沢山の省エネ手法があり、いろいろなところでの採用事例があるが、既存ビルについてどのようにして省エネを進めていったらよいのか? 当時は、ある意味では手探りの段階であった。  そこで、ECCJは既存ビルに省エネルギー手法を適用して実践してゆく行為を「省エネチューニング」(ECCJの造語)と名付け、この省エネ行動の普及により、既存建築物の省エネルギーに役立てようと考えたのである。

問題は、省エネチューニングによってどの程度の省エネ効果が得られるのか、資料、データ類が全くないことであった。そのために、各ビルに直接赴いて採用可能なチューニング手法を適用してその省エネ効果を検証しようというのが、平成15、16年の目標となり、顔を出したばかりの筆者が事務局員としてこの検証業務を担当したのである。

自分が設計したものではなくても、建築設備がどのように運用されているのかの実態を見ることができたのは、設備技術者として望外の幸せであった。設計で効果的であろうと考えられる装置が使われていなかったり、効果を発揮していたりと参考になることが多かった。今までにも折に触れてご紹介してきたが、『マサカ』の事例もあった。

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