室温19℃の省エネ
2022年03月23日
先日の福島沖地震による発電所の損傷で、東京電力から電力使用量の削減要望がありました。それを受け、東京都では暖房時の室温19℃の要望がマスコミから流されましたが、どの程度の効果があるかを述べます。
筆者が以前、省エネルギーセンターで省エネチューニング効果を調査した際に、先ず冷房時の温度設定を27℃に変更したらどうなるか。協力して頂けるビルで設定変更して頂いたほか、当時の東電の節電要求に応じて自主的に設定変更していたビルのデータを頂きました。勿論効果大で、この結果は省エネルギセンターのホームページやパンフレットに掲載されております。
暖房時の温度設定変更については、調査対象事務所ビルでは室温20℃に設定をお願いしたと思いますが、全くデータが取れませんでした。というのは室温が23~4℃以下に下がらなかったためです。事務所ビル、店舗ビルでは照明・人間の発熱量が多く、暖房負荷を上回るため室温は20℃にはなりません。
一般ビルでどうしても室温19℃にするためには冷房しなければなりません。エアコンなどで冷・暖自動切換えシステムになっている場合は、室温を下げると自動的に冷房モードになる場合があります。この場合は電力節減にはならないばかりでなく、在室者に不快感を与えます。一般ビルの暖房時室温は成行きに任せるのが省エネと言えます。
結局、室温19℃で電力節減になるのは、エアコンで冷暖房している個人住宅、老人ホーム等だけでしょう。病院やホテルもセントラル方式で冷暖房している場合は熱源はボイラですから、電力節減にはなりません。ついでに、東京都庁のビルも新宿熱供給の地域冷暖房施設から温水を供給されている筈ですから、室温19℃は、電力節減対策にはならないと思います。