建築設備トラブル⑰ 現象要因別トラブル⑬

2023年09月07日

【暗騒音と騒音レベル】 

(一社)日本建築学会からは、室内騒音の騒音等級や、室用途別の騒音レベルの推奨値が提案されている。

 同じような騒音源でも、設置される建物によりその影響が異なる。これは騒音を受ける部屋の暗騒音に関係がある。厨房やプール、トレーニングルームがホテルに設置される場合は、室の配置や構造についての防音対策については、飲食店舗ビルやスポーツ施設に計画される場合と比べ、グレードの高い配慮が求められるのは勿論である。

 ファンコイルユニットやエアコン室内機は事務室内で使用される場合は問題ないが、ホテルの客室に使われる場合には、メーカーによる騒音レベルの差も機器選定の配慮項目となる。

注意すべきはマンションの気密度向上に伴う暗騒音の低下である。マンション居室やホテル客室での騒音レベル1級は35dbA、NC値はNC-25~35となっているが、実際には夜間の暗騒音が30db以下、NC-20程度にまでなっているマンションやホテルは多い。特に周辺が静かな郊外型マンションでは、音楽ホール並の騒音レベルを目指す必要がある。

建設地が、郊外やリゾート地など夜間の暗騒音が低いところに建設されるマンション、ホテル、病院に関しても同じようなことがいえる。騒音トラブル防止のためには、目安となるレベルは特定の数値ではなく、暗騒音+5db以下を目標とすることがのぞましいと考える。

【空気音と個体音】

 騒音源から放射された音が空気中を伝播する音を空気音といい、振動源から躯体に伝わった振動が受音室の壁などから放射される音を固体音という。空気音は距離減衰が大きく、遮蔽物によっても減衰する。また騒音源と受音室との空気音の伝播を防ぐ隔壁は質量が大きいほど遮音性能が高い。

 固体音が伝播する場合の減衰率は小さいので、暗騒音が低い場合は、騒音源より遠いところでも騒音クレームとなる場合もある。

【建物内への伝播と、建物外への伝播】

 設備機器はおおむね室内に設置され、騒音に配慮して居室空間から離されて設置されているが、露出されている機器類の発生騒音は、建物内だけでなく、建物外、近隣への騒音伝播に配慮が必要である。エアコンの屋外機やエネファームなどの騒音トラブルは頻発している。屋上設置機器やガラリからの騒音は遠くまで騒音が届き、近隣に影響を与える。また、屋上設置機器は直下階の室にも影響を与えるので、ホテル客室や病院の病室、マンション居室の屋上などに設備機器類を設置する際も配慮を要する。

24時間運転の機器は特に要注意である。

また、揚水ポンプ組込み型の屋外設置の受水槽は、設置位置により建物側、隣地側いずれにも影響があるので注意が必要である。

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