建築設備トラブル⑲ 現象要因別トラブル⑮
2023年09月12日
(5)機能障害に関するトラブル
建築設備の目的は各設備に要求される所定の機能を維持することであるが、もろもろの原因で機能障害が発生する。
【各設備の機能障害】
- 給水設備:断水、水の出が悪い(水圧が低い)、水圧が高い、水の汚染、異物の流出
- 給湯設備:水圧不足、湯量不足、湯温が低い、湯待ち時間が長い、空気の噴出
- 排水設備:流れが悪い、ゴボゴボ音の発生、排水の逆流、トラップ封水切れ(臭気の漏洩)、通気口からの臭気
- 換気設備:能力不足、運転時の騒音・異音、排気の逆流、ショートサーキット
- 空調設備:温度(暑い・寒い)、湿度(高い場合は不快感、低い場合は過乾燥で喉の渇きや静電気の発生))、ドラフト
- 電気設備:照度不足、明るすぎ、漏電、誤作動。
建築設備は各種の機器や装置、部材類から成り立っており、これらの作動不良が機能障害につながる。しかも、ある一つの機能障害に対して、原因は多様であって一つに特定できない事があるのが困る。
たとえば温度条件の不適合に対しては、熱源機器をはじめポンプ、空調機、自動制御機器類から、バルブ、ストレーナ、ダンパー等の部材に至るまでの、故障、機能不全、作動不良、操作・設定ミスや想定外の運転、機能低下などが関連する。設計・施工・取り扱い上のミスも関係ある。引渡し前に試運転調整はなされているが、設計条件と使用条件は違っているうえ、上記のトラブル要因は設備システム全体にわたっている。
これらに対応するためには、個々の機器類だけでなく、設備システム全体の把握が必要である。システム全体の取扱説明書が必要である。
この防止策は設計・施工の当初から配慮されてはいるが、完全には防止することは難しい。