建築設備トラブル⑳ 現象要因別トラブル⑯

2023年09月14日

【故障・事故】建築設備に限らず、機器・装置に関する最も重要な共通認識は「機械・装置は必ず故障する」ということである。したがって建物用途や設備の重要度に応じて、バックアップ機器やシステムが設置される。また、バックアップがない場合でも警報や安全装置が設けられている。

  • バックアップについて

 一般の建物では営業上、業務遂行上、生活上の必要性・重要性に応じてバックアップ機器が設置されるが、機器類の故障発生の頻度も関係する。また、バックアップの内容と程度も経済性に配慮されるのは言うまでもない。

 給排水設備のポンプ類は通常複数台設置され、運転モードは「自動交互」又は「自動交互追い掛け」となってバックアップされている。電気設備のバックアップ設備は発電機であるが、これの回路に組み込まれる照明・動力機器は、消火・避難関係の機器が主体である。建物の種類によっては他の設備機器を組み込むこともある。空調設備は熱源分割でバックアップ対応しているだけである。積雪量の多い地域のリゾート施設では、オイルタンクの容量を大きくし、熱源や暖房関係の動力負荷も発電機容量に見込んでおく場合もある。

家庭用機器には、一つの機器の中に別のバックアップ機器を組み込んであるものもある。発電と給湯を同時にできるような機器はすぐれものではあるが、バックアップ用給湯器が組み込まれており、家庭用の機器としてはこれだけで間に合うのにというのが個人的な感想である。

重要施設のバックアップ機器(非常用発電機)に関しては、設置するだけではなく、設置場所や形式(空冷/水冷)にも配慮が必要であることについては、今回の原発事故や、関西大地震で身に染みたことである。

  • 警報・安全装置について

故障を把握するための警報装置や安全装置の設置はシステム構築の必須アイテムである。東京澁谷の温泉施設の爆発事故は、ガス漏れ警報さえあれば防止できたわけであるから、この設置を怠った者の責任は大きいと考える。

故障・事故以外にも以下のような機能障害はたくさん見られる。

・想定外の事故(小動物によるトラブル事例)

2013年3月18日に東電福島原子力発電所で停電が発生し、復旧まで30時間近くかかった。原因はネズミの侵入による短絡事故であるが、ビル管理に携わっている方にとっては『マサカ』ではなく、『マタカ』の話であろう。

筆者の会社でも、屋外設置のキュピクルにネズミが侵入し停電事故になったことがある。原因は下部換気口のメッシュが錆びて劣化し、隙間ができたせいであった。福島の場合は仮設とはいえ劣化はないだろうから、小動物の侵入対策がおろそかであったのであろうか?

マンションの換気ダクトには、鳥や蜂が巣を作ることがある。リゾートマンションなど、利用することが少ない場所におおい。

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