建築設備トラブル概要⑬ 現象要因別トラブル⑨
(2)空気のトラブル
水のトラブルは言い換えれば、どのような形であれ水の存在自体が問題となっている。
器の中や配管の中に存在している場合は、生活に迷惑をかけることはないが、通常の生活空間では漏水のように水の存在そのものがトラブルとなる。
空気は人間の生存に直接関係しているので存在は当然のものであり、そのトラブル内容は空気の状態や質に関係したものとなる。臭気のように質の悪い空気の漏洩は困るが、空調の空気が多少漏れたとしても全くトラブルとはならない。
空気のトラブルは、水のトラブルのように目に付かないのが困る。空気の状態や質の指標は、温度、湿度、気流、臭気、CO2濃度、CO濃度、化学物質濃度などがあげられる。通称ビル管法により、規制値が定められている。一般換気のショートサーキットも同様である。
危険なものは通常の状態では発生・存在は許されないが、臭気以外は体調に影響があるまで簡単に感知できないことが多い。マンションや住宅の気密度向上とともにシックハウス症候群が増加しても気が付くまで時間がかかるのが問題である。
温度・湿度はいずれも許容幅が大きいし、個人差も大きいので、3大トラブルの一つである。
空気の品質に関しては、室内側に要因があるのが一般的であるが、外部の空気質の要因も大きい。換気用に取り入れる外気の質はCO2濃度やCO濃度に関係する。中国の大気汚染の影響で流れてきた、PM2.5なる汚染物質を防ぐための対応も必要である。
空気質に関する各項目については、建築基準法施行令第129条の2の63項と、「建築物における衛生的環境の確保に関する法律」(略称ビル管理法)に同一内容の規定がある。
ここでは、トラブルとの関係について簡単に述べる。ビル管法に規定されている空気質の項目は、定期的にチェックされており、湿度以外の不適合率は小さい。
また設計条件を維持できない状態がトラブル・クレームといえるので、機器の故障・停止から始まって、風量不足、設定ミスに至るまで各種の不具合が空気質に関係する。これらは「機能障害」の項で解説する。