建築設備トラブル概論⑩ バスタブ曲線と設備トラブル②

2023年08月04日

10.2 建築設備におけるバスタブ曲線

 建築設備のトラブルには、建築計画トラブルとエンジニアリングトラブルがあるが、バスタブ曲線に関連するのは、エンジニアリングトラブルであり、建築計画トラブルはこれに該当しない。

(1)初期のトラブル

施工不良は竣工検査時点で明らかになり、不具合は試運転・調整期間中に概ね改善されて引き渡されているはずであるが、それでも使い始めてから表に出てくるのが初期トラブルである。原因としては調整不良や施工不良によるものが多く、どちらかというと「マタカ」的なトラブルが多い。

したがって、簡単に直せない場合もあるが、一般的にはトラブル原因を除去すれば比較的簡単に再発防止は可能である。建築設備の場合は試運転調整期が引渡し後にまで延長されたものといえる。

想定範囲内の物(『ヤハリ』)も多いが、まれに想定外のトラブル(『マサカ』)がおきる。

経験の浅い者にとってはこれらの不具合は想定外であり『マサカ』のトラブルであるが、上司にとっては『マタカ』の事が多い。従って会社組織にとって初期トラブルは少ないことがのぞましい。

設計・施工上の不備・不具合があっても、竣工直後にトラブルが発生しないことがある。この場合は不備・不具合によるトラブル要因が、時間の経過により蓄積されて、ある日突然大きなトラブル・事故を引き起こすことがある。

竣工後間もなく発生し、対策を講じても頻発する場合は、施工ミスというよりは、設計・計画ミスまたは設計配慮不足によるものが多い。これらはどちらかというと、建築計画に原因するトラブルに区分されよう。

従って抜本的な対策を講じない限り再発は防止出来ず、バスタブ曲線の対象外といえる。 

(2)安定期のトラブル

設計・施工上の不備・不具合があっても、竣工直後にトラブルが発生しないことがある。この場合は不備・不具合によるトラブル要因が、時間の経過により蓄積されて、ある日突然大きなトラブル・事故を引き起こすことがある。その他にも想定外のトラブル(マサカ)が多い。

安定期のトラブルは異常気象、天候に関連するトラブルや使い勝手に関連するトラブルが多い。したがって、「マサカ」の対応となりやすいので、トラブル・不具合は初期段階で発生することが望ましいともいえる。

あまりないことであるが、システムを構成する機器・器具・自動制御機器等の故障もこれにあたる。

 また、定期的な保守管理や、消耗率の高い部品交換を怠った場合は、メンテ不良によるトラブルが発生する。これは摩耗期が早まったといえる。

(3)経年変化・劣化によるトラブル

機器・部品には寿命があるので。ある程度想定範囲内である。したがって予想外のトラブルは少なく、「なるほど」である。修繕・部品交換などの予防保全により、寿命を延長させ、この種のトラブルを防止していることが多い。

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