建築設備トラブル概論⑪ 現象要因別トラブル⑦

2023年08月24日
  • 電気設備関係部材:電線管に湿気・水が流れることは電気設備の関係者にとっては『マサカ』であるから、この手のトラブルは多い。北側コンクリート躯体に電線管やボックスを打込むと、結露により誤作動やショートが起きる。冷蔵・冷凍設備の場合も冷たくなる躯体側に打込み配管をしてはいけない。

筆者は始めての現場で、空調機の真上(上の階の空調機の真下)の火災報知機の誤作動を経験した。この時は、火報のボックスはちょうどドレンパンの真下であったので、躯体とともに電気のボックスが冷やされたのである。また、空調機は外気・レタンガラリと接続されておらず、混合されたものを吸込むような形となっていたので、空調機室内の温湿度が高くなっていたのもその原因であろう。

当時は現場事務所には冷蔵庫はなく、竣工後にこの空調機のドレンパンでビールを冷やしていたことを思い出す。タ-ボ冷凍機の冷水温度は5~10℃であるから、ドレンパン設置部分のスラブ温度は低くなっていたと思われる。

 断熱されていないコンクリート屋根の躯体に打込んだ電気ボックスの結露水が垂れてきて、電気が切れたという珍しい事例もある。

  • 設備機器類:設備機器類の結露もダクトと同様に、外部結露・内部結露がある。空調設備のない工場内に通常仕様の空調機を設置して、外部結露した例がある。この場合は吹出し側のダクトにも結露した。屋根裏換気設備のある天井内に設置されたファンコイルユニットの本体が結露した事例もある。機器の断熱仕様条件よりも、天井内が高温多湿であったためである。一般的な使用条件での機器類単体の結露は製品の不良であるから、漏水と同様設計者には伝達されることが少ない。

空調機が工場製品化された初期のころには、ドレンパンの裏側が結露して困ったという話は聞いている。電気設備の項で紹介した、空調機の下の階で火災報知機の誤報が発生したことと同じ現象である。

空調機の外板結露もまれに発生する。筆者が経験した事例では、断熱はグラスウール内貼りであったが、ドレンパンとの境目の仕口が不適切であったので、グラスウールがドレンを吸い上げてしまったためであった。

この手のトラブル紹介ではメーカー名が紹介されていないことが多いが、専業メーカーの製品かどうかも重要な情報である。上記の空調機の外板結露は某エアコンメーカーのものであった。某メーカーが空調機の製造に乗り出した際に、筆者が在籍した設備会社のベテラン部長に何十か所も指摘を受けたので大丈夫ですという言われた話は連載に述べたが、「真似して作れば、『マサカ』がおきる」(第51話参照)ことがあるので要注意である。

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