建築設備トラブル概論 5.建築生産における情報断絶③
5.4設計・施工業務担当の各種パターンに伴う情報断絶
5.1の表のタイトルの後に(標準)と記してあるのは、計画・設計から施工に至る段階の各分野ごとの業務の分担に、発注形態によりいろいろなパターンがあることを意味している。
・設計・施工一括担当のパターン
最も単純なパターンは、ゼネコン一括による建築から設備までの設計・施工である。
ゼネコン設計部の設計形態は表‐○と同じである。この場合は設計施工は同じ会社で行っているのであるから、バリヤーは低く情報断絶は少ないであろうと思われるが、会社規模が大きいので実情はいかがであろうか?
トラブル処理は施工部門の責任というような認識がある場合は、トラブル情報は設計部門に上がりにくい
・施工業務担当のパターン
施工の形態はゼネコンによる建築設備一括施工の場合と、ゼネコンが建築を、サブコンが各社の専門分野の施工を行うという分離施工の場合がある。いずれの場合も設備施工会社がトラブル対応するのでそれぞれの専門分野における情報断絶は少ないといえる。一括施工の場合には、元請であるゼネコンがトラブル解決の責任者となるが、分離施工の場合にゼネコンの設備担当に情報が伝わりにくいのは仕方がない。施工業務のパターンに関しては図にする程の事ではないので省略する。
・設計業務担当のパターン
設計施工分離の場合でも建築・設備それぞれの設計をどこが行うかについてはパターンが分かれる。①すべての分野の設計を設備/構造スタッフを擁する建築設計事務所(総合事務所)が行う場合と、②設備/構造スタッフを抱えていない建築設計事務所(アトリエ事務所)が行う場合、③建築、構造、各設備それぞれの専門の設計事務所が行う場合とである。
いずれのパターンの場合でも、設計・施工それぞれの分野の間の壁が情報断絶を起こしやすい。