建築設備トラブル概論 9 設備トラブルの種類と区分④

2023年07月28日

9.3 建物種別による区分け

トラブルの発生は建物の形態や使われ方との関係が大きいので、建物の種類によって問題となるトラブルは違っている。建築設備はエンジニアリングであるから、勿論共通のトラブルもあるが、特定の種類の建物に限って発生しやすいトラブルもある。

例えば商業ビルやオフィスビルで騒音トラブルが発生することは少ないが、24時間使われるホテル・病院・マンションでは騒音に配慮した設計・施工が必須である。特に個人にとっての高額商品であるマンションでは購入者の要求レベルが高いので騒音トラブルはクレームになりやすく、特別な配慮が必要である。

また、設備が重装備である建物と、最小限生活に必要な設備だけがある建物とでは発生するトラブルが異なる。ビル管理者が常駐している建物と、原則的に利用者が使用する建物でも違いがある。住宅やマンションでは建物管理者がいないか、いても技術者ではないことが多いので、ホームページの住宅トラブル相談のサイトでは、建築・設備に関する多くの相談が寄せられている。

建物の種類によるトラブルについて、発生件数の多寡でなく、どのような種類のトラブルが多いか考察すると、

  • 事務所ビル、庁舎:空調設備の機能やエンジニアリングに関するものが多い。
  • 商業ビル:上記および、飲食店舗が入ることによる換気・臭気および給排水設備トラブル。
  • ホテル、宿泊施設:宴会場、客室等用途区分が複雑であり、浴室、プールなど設備の種類も多く、それに付随してトラブルも発生している。またリゾート関係では浄化槽の設置など特殊設備も多い。
  • 病院:病院専用の設備が多く設置されるので、この関係のトラブルが多くなるのはやむを得ない。
  • 住宅、マンション:給排水、換気設備トラブルが多い。サッシの気密性向上に伴うトラブルは、建築と設備の狭間に発生するので、『マサカ』のトラブルになりやすく解決が遅れる。
  • その他の施設:美術館、博物館、学校等はそれぞれの用途に求められる機能に関するトラブルが多い。
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