建築設備トラブル相談対応事例②

2023年06月09日

Ta氏邸騒音トラブル

(概要)横浜市緑園都市のマンション5階にあるTa氏邸においては、夜間に唸り音のような音が聞こえ、居住者の睡眠の妨げになっているということである。しかしながらこの音は騒音というには非常に小さく、管理組合に話をしたが、理事の皆さんは聞こえないという事で筆者に相談があった。調査の結果、騒音レベルは25db程度と低く(暗騒音20db)、騒音計の針の動きで分かる程度。相談者は空耳ではないことを証明してもらいたかったとの事。天井板の共鳴(?)騒音源と対応難は指摘した。通常の場合はトラブルとして扱ってもらうレベルにはない為、今回当事務所に調査依頼されたものである。騒音測定・調査報告書・検討書作成。その後の別日、夜間に管理組合の理事さんに聴いていただき、状況を理解してもらった。

・騒音測定概要

  • 騒音測定日時・場所:H.14.01.30、20.20~30分。 (於)横浜市泉区緑園 Ta氏宅
  • 測定者:筆者、立会者:Ta氏他1名
  • 計測機器:省略

  • ・騒音測定結果
  • 騒音NC値:和室NC-18!
  • 騒音レベル:暗騒音 居間:26~27db
  •           和室:27~28db

             外部:47~50db(バルコニー外側)

              自動車騒音:37~40db(居間内部)・・・気にならないとの事

              電車走行音:33db (居間内部)・・・同上

・騒音の特徴:1.5~2秒の間隔でウーンウーンと波打つような音で、騒音計の針の動きでも認められた。

       夜遅くなれば暗騒音も小さくなるので、人によっては気になる音であるといえる。

      :和室の畳の上に横になっても聞こえた。リビングルームでは全く聞こえなかった。

・騒音レベルの判定

  ・NC値の評価:各種資料の騒音基準値は音楽ホールでNC-20であるから、非常に低いと言える。

・考察・音源の推定

      :断定は出来ないが機器類の運転音(回転音)であると推定される。

      :時々聞こえないときがあるので、連続運転ではない。

      :音源対象機器としては給水ポンプ、エレベーター機械室給排気ファン、エレベーター操作盤

       冷却ファンが考えられる。

      :125Hzの所にピークがあるので、4極モータのポンプの可能性が高い(添付資料あり)

      :他の住戸の冷蔵庫や換気扇類の運転も考えられるが、通常はこの音源から聞こえてくる

       ことは少ない。

      :入居者は音源を連続音として捕らえていたが、測定日には聞えたり聞えなかったりした。

       連続音と捕らえたのは多分耳の錯覚であろう。

・音源の位置と伝達経路の推定

      :住戸の壁・窓の外、上下階に音源があり、壁等を透過してくる音ではない。

      :音源は遠くであるように感じられた。

      :躯体壁に耳をつけて聴いた音より、和室内天井からの方が大きく感じられたことから、

       躯体を伝わってきた音が和室天井で太鼓状に増幅されたものではないかと思われる。 

・今後の対応

      ①音源の特定と防音処置の施工が考えられるが、音のレベルを考察すると、

       基本的な防音対策は施工済みの可能性もある。

      ② 適切な方法が出来れば、和室天井構造の変更により騒音の増幅を防いだ方が容易である

        場合も考えられる。

      いずれにしても他の住戸の状況調査と共に、ゼネコンの技術研究所等の音響専門家の

      コンサルタントが必要である。

 ※大きな騒音を何とかしてほしいとの相談は現役時代によくあったが、ここまで静かな事例の調査は初めてである。参考になった。

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