建築設計と設備トラブル(2)-② ~建物の形は法律で変わる~
2023年03月28日
◆建築基準法が決める建物の形
建設計画の対象敷地にはいろいろな法的規制が付随している。私的財産である自分の土地だから何でも建てられるというのは間違いで、都市計画法により用途地域が決められて、各種の規制がある。用途地域は大きく住居系、商業系、工業系に分けられ、住居地域は7種、商業地域は2種、工業地域は3種の区分がある。それぞれの地域では建築できる建物、建ててはいけない建物の種類が決まっている。また、各用途地域ごとに建蔽率や、容積率、高さ制限、斜線制限、日影規制が違っている。斜線制限には道路斜線、隣地斜線、北側斜線があり、高さ制限と合わせ、建物はこれら諸条件の中に収めることが求められる。意欲的なデザインの建物でも、目に見えない規制の枠内に収めなければいけないということである。言い換えれば建物の形は法律によって決められることになる。 この規制の中で、デザイン的に優れ、いかに効率の良い建物を設計するか?建築設計者に求められる要求は非常に大きい。計画の初期段階では、これらの条件を把握した上で建物の形を決めてゆかなければならない。
筆者は設備施工業から建築設計業に転職したわけであるが、つきあいのある設計事務所に派遣されたのがきっかけであった。建築科出身の設備技術者にとって、建築設計の現場はある種あこがれの的でもあり、さぞかし自由な発想から建築の設計が生まれてくる物と想像していた。しかし上記のように、法律により目に見えぬバリヤーが張られ、建築基準法が建物の形を決めるとは、気がつかなかった事とはいえ「マサカ」の思いであった。