建築設計と設備トラブル⑧-① ~技術の狭間にトラブルがおこる~

2023年04月26日

先号まで設計業務の忙しさと、図面の整合性に関して、言い訳がましいことを述べさせていただいたが、ようやく本題に戻った。このサブタイトルは、建築計画・設計に伴う設備トラブルについて述べるのが趣旨である。今回は建築計画・設計に伴う「技術の狭間」についてである。

■技術の狭間にトラブルは起きる

 通常のものづくりの現場では専門の違う色々な分野の技術者が参画し分担してまとめてゆく。この場合夫々の専門の違いにより、各技術間に狭間(隙間)が生じやすい。隙間が生じればトラブルにつながるのは、どの工業製品でも同じであるが、建築の場合はこの傾向が強いようである。

建築の計画・設計の分野に関していえば、チームリーダーまたはプロジェクトマネージャーの姿勢の違いもあるように思われる。建築設計者はデザイナーなのか、コーディネーターなのか、がよく議論されるが、一緒に仕事をするパートナーにとってはコーディネーターであるほうが望ましい。現役時代の会社でも設備や構造のスタッフに評判の良い建築設計者は、面倒見の良い方々であった。

さて望ましい形は、各分野の技術者が関連する他の分野に関しても、自分の業務範囲と考えて一歩踏み込んだ姿勢でいる場合である。この場合はお互いにカバーしあうような形となるので、隙間は生じない。

建築設計者は建築・意匠設計者ではあるが、建築設計すべてに責任ある意識を持ってほしい。  

トラブルが発生しやすいのは、夫々の技術者が専門分野のからに閉じこもって、誰もやらない領域が生じる場合である。

建築計画の段階では、建築設計者と設備・構造技術者との業務分担の境界が明確でないことが多く、「あいつがやってくれるだろう」ということで、狭間が生じることが多い。

   

(図は「建築技術」2009.8月号より)

建築の計画から使われるまでは、多種多様な技術者が介在し、情報断絶と「報・練・相」の不足はいたるところに発生する。したがって夫々の技術者が自分の専門分野にこもってしまった場合は、「トラブルが発生しやすい形」となって関連する他の分野との間に技術の狭間が生じトラブル・不具合が発生しやすい。「設備」というと、別な世界の仕事ととらえている建築設計者が多いが、設計に関しては建築基準法上は全ての責任は一級建築士にあり、建築設計者はこの狭間を埋める役割を求められていることを忘れてはいけない。

Copyright © 2019-2020  建築設備解体新書 All Rights Reserved.
Powered by Webnode
無料でホームページを作成しよう! このサイトはWebnodeで作成されました。 あなたも無料で自分で作成してみませんか? さあ、はじめよう