建築設計と設備トラブル(3)-② ~標準外業務のあれこれ~

2023年04月03日

2.標準外の業務

今回の告示では、特に設計に関する標準業務に附随する標準外の業務が具体的に再確認されたことは評価できる。設計受託契約に基づき、設計に関する標準業務に附随して実施される業務は、次に掲げるものとされた。(工事監理関連省略)

(1)住宅の品質の確保の促進等に関する法律第5条第1項に規定する住宅性能評価に係る業務

:いわゆる住宅性能表示制度に基づく、性能評価業務である。後から出来た法体系によるものであるので、この業務に関しては、十分ではないが従来から別途請求できたが、事業者との力関係では設計料に含まされるケースも多い。

(2)エネルギーの使用の合理化に関する法律第73条第1項に規定する建築物の外壁、窓等を通しての熱の損失の防止及び建築物に設ける空気調和設備等に係るエネルギーの効率的利用のための判断に係る業務

:従来からある省エネ法のPAL・CEC計算である。空調設備の熱負荷計算とは連動していないので、別途業務となる。この業務の発注先である協力事務所からはもちろん請求があるが、施主側への別途請求は認められなかった場合のほうが多い。

(3)建築物の断熱性や快適性など建築物の環境性能の総合的な評価手法(建築物総合環境性能評価システム)等による評価に係る業務

:今話題のCASBEE評価。経験はないが、やった者に聞くと結構な作業量になるとのことである。

(4)建築物の耐震改修の促進に関する法律第2条第1項に規定する耐震診断その他建築物の地震に対する安全性の評価に係る業務

:新しい法律によるものであるので、別途請求しやすいといえる。

(5)建築物の防災に関する計画の作成に係る業務

:防災計画書作成業務である。大型ビルの管理をされている方は、中央監視室で目にしているであろう。この分厚い計画書は作成の原価だけでも数百万かかる場合もある。

(6)建築主が第三者に有償で委託した設計の代替案に関する評価に係る業務

:これは請求しやすい。その他通常設計監修業務については、従来から別途費用は頂いていた。

(7)設計に係る成果図書に基づく詳細工事費の算定に係る業務

:小生のいた事務所は積算部がありコストコントロールは厳しかった。これにより事業者側にとっては有利であった(請負側にとっては不利)はずである。この部門を抱えていたための、設計報酬上のメリットはなんともいえない。

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