建築設計と設備トラブル(3)-③ ~標準外業務のあれこれ~

2023年04月05日

3.その他の標準外業務

(1)開発行為と各課協議・事前協議

建物の計画前に、計画敷地の法規制の把握が必要であると前回に述べたが、容積率・建蔽率・斜線制限で決まるのは建物の規模だけである。建設のためには、何らかの形で土地に手を加えることになるので、内容によっては都市計画法の規定に抵触する場合がある。いわゆる「開発行為」とよばれているもので、「主として建築物の建築又は特定工作物の建設の用に供する目的で行なう土地の区画形質の変更をいう」と定義されている。

「開発許可を申請しようとする者は、あらかじめ、開発行為に関係がある公共施設の管理者と協議し、その同意を得なければならない。」(都市計画法32条)とあり、行政の各部門と計画前に事前協議の必要がある。各課協議とも言われ、建築の確認申請書類提出以前に、行政の関係各課の事前審査・了解または承認を得るという折衝業務である。対象となる各課の数は行政により違っているが、緑地課や環境保全課など、普段はあまり関係のない部署との折衝も必要となる。

一定規模以上の土地の開発を行う場合は、おおむね事前相談の結果「開発許可申請」が必要となる。従って報酬は別立てであり、この許認可を得るための関係部署との折衝(各課協議)業務の工程も、全体の建築設計工程とは別である。

この場合事業者によっては、設計工程が長引くことと余分な出費を嫌って、大規模開発でも開発行為にならないような計画を要求することがある。 しかし、このようなケースでは計画に無理が生じ建築単体の計画での各課協議と比べ、折衝内容はかえって複雑となる。しかも報酬は上乗せされないことが多く、当方の労力の割には報われることが少ない。きちんとした開発行為となったほうが、報酬的にも工程的にも望ましいが、別途費用を頂けないケースもあるとのことである。

最近では、開発行為にならなくても、「まちづくり条例」などで、行政による規制の対象になることがあり、ただでさえ多い行政との折衝業務、届出書類は膨大になりつつある。

(2)『建築物における衛生的環境の確保に関する法律』(通称:ビル衛生管理法)関連業務

 上記法律にもとづく除塵計算書の作成業務などは、提出先が保健所でもあり、本来は標準外業務としたいところである。しかし、同じ内容が建築基準法に取り込まれていることもあり、従来からなんとなく本来業務に含まれてしまっている。

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