建築設計と設備トラブル(4)‐②~地方分権と建築設計~

2023年04月10日

(2)地方分権について

従来の中央集権制度では、行政上の権限や財源は中央である国に集中している。これらの一部を住民に身近な地方自治体(県や市町村)に委譲し、地域の特色を生かした地域づくりを、地方自治体の責任と権限で行うこと、すなわち「自分たちのまちのことは、自分たちで決める」という考え方が地方分権である。

法的には、1995年(平成7年)に地方分権推進法が制定され、国の権限の地方自治体への委譲が決定された。また、中心市街地活性化等のまちのあり方についても当該自治体が主体的に決定し、その結果にも主体的な責任を持つべきとの流れとなった。

(3)まちづくり条例、要綱

 地方分権の流れにより、全国の市・区・町村で従来の開発要綱的なものが、「まちづくり条例」として制定されるようになった。ホームページで検索すると、「エッこんな町にも!」と思われるところでも制定されている。これらは見た目はおおむね似たようなものではあるが、地域により制定の趣旨・目的・内容も異なっているのが困る。  

「地方分権時代のまちづくり条例(小林重敬 編著:学芸出版社1999/09刊)」によれば、「まちづくり条例」は4種類に分けられている。環境系まちづくり条例、景観系まちづくり条例、土地利用調整系まちづくり条例、地区まちづくり系まちづくり条例であり、その目指すところを示すタイトルが条例の頭につけられていることも多い。景観系以外の例を挙げると「○○市環境共生まちづくり条例」、「○○市の良好な都市環境をつくる条例」、「○○町潤いのある町づくり条例」、「○○市、人と自然との共生ゾーンの指定等に関する条例」、「○○市地区計画及びまちづくり協定等に関する条例」等々、立派な名前が付けられている。

 このほかに、環境基本条例、住宅条例、中高層建築物等の条例、住環境の整備に関する条例、風景づくり条例など、建築計画に付随する規制は数多い。これらの条例に基づき、建築計画前に事前相談、事前協議が必要であり、協議・申請のための書類・図面や計画書の作成にも時間がとられる。申請期間や内容にもよるがそれなりの人工は必要となる。また、確認申請提出以前のもろもろの手続きにかかる期間の把握を間違えると、事業者の計画に重大な支障を来すので要注意である。

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