建築設計と設備トラブル(4)‐①~地方分権と建築設計~

2023年04月09日

設備トラブルと話の内容が合わないが、大切な話なので今回も先月の話の続きである。開発行為に関する事前相談だけでなく、一般建築の場合でも以前から「要綱」等で建築行為に関する事前相談が必要となっていたが、最近、各市町村で独自の条例を作ることが出来るようになってからは事前相談・協議の内容は複雑となってきている。

 建築設計者は、設計が好きであり、趣味で仕事をしている側面があるので、原価意識が低いきらいがある。(報酬のことばかりいうと事業者側から嫌われる面もあるが・・・)従って、各地方条例の制定などの規制強化による、業務量の増加への認識が甘く、これが先月の標準外業務同様ボデーブローのように設計事務所の体力を奪っている。

地方分権については色々な方面での論議がなされているが、地方の税収と補助金行政についての問題点のように、総じてばら色の面のみが強調されているきらいがある。地方で出来ることは地方独自で計画・実行することが望ましい事はいうまでもないが、全国各地に建物を計画するものにとっては、計画地によって法律や指導の内容が異なることは、業務が煩雑となり望ましいことではない。

今回は、前回指摘しなかった標準外業務としての地方条例対応業務と、巷間では望ましいことと捉えられている地方分権の建築設計への影響について考えてみる。

(1)建築設計に関わる地方条例

建築設計者にとって最も重要な法律は建築基準法であり、都市計画法および消防法がそれに次ぐものといえる。いずれも軸となる法律の他に、各都道府県レベルの「建築安全条例」や「火災予防条例」が定められており、上位の法を補完する形となっている。これらの条例は、上位法の枠内で各地方独自の規制がかけられている物であるから、設計業務量としては内容・スケジュール的にそれほど大きな負担がかかるものではない。

その他に、その地域独自の「開発要綱」が定められている。これはたんなる規正法ではなく、手続き法の側面を有するため、建築設計者はこの規定に準じて業務を行う必要がある。

しかし「要綱」は法律ではないが、地方条例は法律であるから、「地方分権」に基づき条例が数多く作られることは建築設計者上の負担となる。

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