空調設備のトラブル50②

2021年10月03日

1.建物の熱特性にまつわるトラブル

(1)出入口、人が通れば風も通るー不用意な扉や開口部は大量の風が入るー

①地下鉄と連絡しているビルの地下店舗で地下鉄運行に伴う「列車風」が吹き込み冬には寒くて仕方がない状態になった。

②あるショッピングセンターの正面入り口は西面で、その地方の季節風の西風が強い日には入り口扉が閉まらず、入り口周辺が寒い状態となった。

(コメント)よくある話である。①は解決がむづかしい。②は建築計画の問題でもあるが風除室の設置等で対応できる。筆者の経験事例では、計画当初にあったショピングビルの風除室が、売り場面積を増やすため取りやめられて、入り口からの冬の外気の侵入で寒いというクレームになった。この時は、出入口扉の外に風除室を作った。

(2)ビルの中にも六甲おろしーコールドドラフトの対処法―

①天井高さ8mのラウンジで、北面が総ガラスであるために、冬に床面が寒いという苦情が出た。

②劇場や講堂のステージ上が大変寒い、又緞帳が揺れるなどの苦情を聞くことがある。

(コメント)①については、寒冷地でベースボードヒーターなどで、冷機への対応は常識であるが、関西地方では認識が甘かったことと思う。

②についても、設備設計者の経験不足が原因といえる。(この本の初版は1985年7月である。)

(3)置き場で変わる暖房効果―暖房機は置く位置で温かさが大きく変わるー

  • 短大の教室で、天井吊りファンコイルユニット方式の暖房で、天井近くの温度は25℃あるのに、床上30㎠では14℃程度で、寒いという苦情が出た。
  • 機器の選定に、各教室とも同時に暖房されているものとしていたが、実際は各室間欠運転であり、能力不足となったものである。
  • 対策としては、ファンコイルユニットの増設と、エアサーキュレーターの設置で対応した。

(コメント)これも設計上の問題である。使われ方に配慮されないことも問題であるが、天井吊りファンコイルユニットで頭寒足熱に対応することは不可能である。

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