空調設備のトラブル50⑨
2021年10月27日
(22)排煙も引きすぎればロックなみ-超高層附室排煙の防火扉開放トラブル-
- 超高層ビルの、特別避難階段附室の排煙設備を運転したところ、最上階に近い階で附室内の扉が開き放しとなり、竣工時建築検査で不合格となった。
- 特別避難階段は、地下2階から地上31階まであり、その上下差は130mであった。したがって、排煙口が吸いすぎの状態となったのである。
- 対策としては、排煙ダンパーに抵抗を付加させた。
(コメント)超高層ビルでなくても、排煙ダクトの静圧は高くなっているので、同様の傾向はあるので注意が必要である。
4.ガラリまわりのトラブル
(23)厨房排気も風向き次第―ガラリ取付位置(方位)によるトラブル-
- 風が強い時期になると、厨房排気フードの吸込みが悪く西風が強くなり、換気不良となった。
- 当地域では西風が吹くことが多いが、厨房用排気ガラリは西面についていた。対策としては遮風板を設置した。
(コメント)よくある話であるが、建築設計との関連が大きいので、設計段階から建築設計者に情報伝達を行っておく必要がある。
(24)事務室にカレーの匂い-外気取り入れ口と排気ガラリとの位置によるトラブル-
①厨房排気が、外気取り入れ口にショートサーキットして、事務室に匂いがした。
- 外気取り入れ口、排気ガラリとも屋上にあったが、パラペットが高く、風が渦流となって屋上に広がったためである。排気ガラリをパラペットよりも上に立ち上げた。
②玄関アプローチで厨房の匂いがした。
- 厨房排気ガラリは玄関よりも15m以上離れていたが、建物周囲に発生するビル風の影響があった。
(コメント)厨房排気は間違いなくクレームになるので、計画・設計時に配慮しているのでトラブル事例はほとんどない。それでも『マサカ』の話はあるので、著書に載せてある。上記②の事例はガラリの位置が不明ではあるが、『マサカ』になるかどうかは、微妙なところである。