空調設備のトラブル50⑪

2021年11月02日

(28)排煙開口に要注意―自然排煙の排煙口面積不足-

  • 病院厨房室の自然排煙設備が、建築指導課の完成検査において、傾向面積不足の指摘を受けた
  • 排煙口手前に厨房排気フードがあった。
  • フードの設置されていない外壁に開口部を増設した。
  • 解説では、自然排煙設備の長所・短所が解説されている。

5.屋上・屋外設置機器まわりのトラブル

(29)近いほど良い室外機-ヒートポンプ室外機の位置と暖房不良-

  • 美術館の1階事務室にヒートポンプパッケージを設置したが暖房の危機が悪く、条件の悪い日には19℃であった。
  • 室外機の位置は設計時典では1階の屋外であったが、竣工時は屋上に設置され、冷媒配管が25m(1985年当時の数値)以上あったため、暖房能力低下となった。
  • 対策として、室内機に電気ヒーターを入れた。

(コメント)建築設計者からのクレームとはいえ、設備技術者がこのようなことを受け入れたとは信じられないが、ヒートポンプパッケージの普及段階ではこのようなことも多かったのであろう。解説ではヒートポンプシステムや機器についての説明があり、冷媒配管の距離が能力に関係することが述べられている。

(30)風道がなければ効かぬ冷却塔-塔屋広告塔内設置冷却塔の能力不足-

  • 竣工後1年目の夏に、「冷凍機の冷却水温度が下がらない」というクレームが発生した。冷却塔は塔屋屋上に設置されており、周辺は広告塔で囲われていた。
  • 広告塔の高さは冷却塔より700mm高かった。そのため冷却塔の吐出空気がショートサーキットしたため冷却能力ダウンとなったのである。
  • 冷却塔吐出側に短観を取り付け、若干の改善が得られた。

(コメント)冷却塔やヒートポンプエアコン室外機のショートサーキットは能力ダウンだけではなく、アンチ省エネ運転である。最近は広告塔がなくてもデザイン的に屋上機器を囲む設計が多い。解説では、「冷却塔を隠すことは百害あっても一利なし」と述べられている。

なお、ヒートポンプエアコンの室外機を囲う事も同様で、この場合はメーカーが建築意匠設計者の無理な要求に対応できるように、機械を改良しているだけでなく、機器容量選定時のオーバースペックもあって。アンチ省エネ運転が多いのが問題である。これについては今後項を改めて述べる。

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