空調設備のトラブル50⑫
2021年11月05日
(31)冷却塔から煙が出る
- 地方の半導体工場の地上設置型冷却塔(合計1000RT)から月に白煙が発生し、微風時に近隣の住宅にたなびいてクレームとなった。
(コメント)この時代には、白煙防止対策はなされていなかったので、屋上設置のタイプでも近くのビルのネオンの影響で「冷却塔が火事だ」と消防への電話があった。
本書の解説では、1960年の米国で、白煙が高速道路にたなびき交通障害となった事例や、成田空港での管制障害が新聞報道された事例が紹介されている。
又白煙発生の原理や、防止法についても詳しく解説されている。
尚、地上設置で近隣にたなびいたとの事であるが、白煙でなくても、夏の熱風が流れるのはまずい。配置には気を付けるべきである。
(32)大きく重たいヒートポンプユニット-スクリューヒートポンプの設置スペースと重量トラブル-
- 事務所ビル用や設置予定のスクリューヒートポンプユニットが、所定の設置スペースに収まらなかった。
- 原設計では、ガス冷温水機は地下機械室に、冷却塔は塔屋屋上設置の計画であった。
施工前に、空冷スクリューヒートポンプユニットに変更され、原設計時の冷却塔設置すぺースに設置される計画変更があった。ところが、設置スペース、重量を十分検討しなかったために設置できなかったものである。
- 塔屋設置を止めて、屋上設置とし構造補強を行った。
(コメント)解説ではいろいろ述べられているが、当時(1985年発行)は、このようなお粗末な事例もあったという見本である。
(33)暮れると気になる屋上機器-スクリューヒートポンプユニットの近隣騒音トラブル-
- 事務所ビルの屋上にスクリューヒートポンプユニットを設置したところ、隣接ビルの管理人室より「夜間うるさい」というクレームがついた。
- 当ビルの空調設備の運転時間が18時までという設計条件であったので、遮音対策がなされていなかったのが原因である。(実際は11時まで運転)
- 発生騒音93dbAが管理人室居室で53dbAであった。遮音壁を設置し居室内騒音は40dbAとなった。
(コメント)これもお粗末な話であるが、当時の設計・計画レベルがこの程度であったら再発防止のために取り上げる必要はある。解説では、ホームページユニットの発生騒音の表や、遮音壁の高さによる騒音減衰量の表がある。
(34)煙突と冷却塔は犬猿の仲-煙突排ガスによる冷却水管腐食漏水トラブル-
- 状況はタイトル通り。
- 原因は煙突が冷却塔に近く高さが低く、熱源はA重油炊きの吸収式冷凍機である事、
- 対策は煙突の高さをあげた。
(コメント)小生の著書にも取り上げたが(状況は冷却塔を広告塔で囲ったことと、B重油炊き)、この時代のトラブル本に良く載っている事例である。