空調設備のトラブル50⑬
2021年11月08日
- 6.空調機械室まわりのトラブル
(35)騒音は立つと寝るでは大違い-熱源機械室直上のホテル客室での騒音トラブル=
- 上記の状況で、うるさくて眠られないというクレームが発生した。
(コメント①)原因は、やってはいけない事例のオンパレードで、参考の為列挙する。
- 原因①:熱源機械室の騒音が床を透過して客室に伝わった。
- 客室床のスラブ厚が150mmしかなかった。
- 機械室天井が、二重天井でなかった。
- 機械室天井壁に吸音処理がなされておらず、壁・床での反射で騒音レベルが高まった。
- 原因②:熱源機器の振動が躯体に伝わり、客室内に騒音として出た。
- 冷凍機・ボイラの防振がなされていなかった。
- 機械室内の配管が防振釣りになっていなかった。
- 冷却水配管の壁貫通部が、モルタルで直接埋め戻されていた。
- 対策:機器類、配管の防振の他、鉛板をサンドイッチしたボードを天井に貼った。
(コメント②)上記対策でどの程度騒音が緩和されたかは数値がないので不明である。
本項の解説では、機械室からの騒音伝達について詳しく書かれているが、隣接に関しては若干判断が甘い。サッシの遮音性が向上している現在では音については要注意である。
ホテルやマンションでの居室は機械室とは絶対に隣接(上下も)させてはいけない。
尚、立っているときには気にならない騒音・振動も、寝て枕に耳をつけると気になるという指摘は知っておくべきことである。
(36)クレーム減らしは金次第-超高層ビル中間機械室の防振対策-
- 超高層ビル中間機械室の直上・直下階が、環境条件の厳しい諸室のため防振対策費が過大となり、オーナーとの間で予算設定上のトラブルになったが、中間階機械室に熱源機器を設置することが総合的に最も有利であることを了解してもらった。
- 解説では、設備的配慮だけでなく、建築的配慮の必要性について述べているだけでなく、防振設計の基本フロー図や振動・騒音の許容量の表なども示されている。
(37)隙間が損なう遮音性-ホール隣接機械室の遮音性能不足-
- 室内許容騒音NC35の条件のホールで、パッケージ型空調機運転時にうるさいというクレームになった。室内騒音を測定したところ、NC40であった。ダクト系の消音を十分に行ったが、室内騒音は下がらなかった。
- 原因は、空調機室がホールに隣接しており、隔壁はブロック造(!)であった。
- 対策としては隔壁の遮音能力を高めるため、内貼り吸音材を除去してモルタルを塗った。
- 解説では、騒音の発生原因と室内を静寂にする方策について述べている他、建築材料の概略透過損失図や、騒音防止設計フローチャートも掲載されている。
(コメント)これもオソマツな事例である。機械室位置をホールから話すことをはじめとして、このような配慮不足の場合は設備設計者が建築設計者に改善提案をすべきである。