空調設備のトラブル50➉

2021年10月30日

(25)出口だけでは換気はできない-自然換気によるトラブル-

  • 自然換気方式のクラブハウス浴室で、換気が悪いという苦情が出た。
  • 浴室内には上部換気口(排気用)があるだけで、給気口がなかった。そのため出入口扉が閉鎖時には換気ができない状態であった。
  • 浴室入り口扉の下部にドアガラリを設けて給気口とした。

(コメント)浴室入り口は当然脱衣室であろうが、ここへの給気がどうなっているのかは気になる。自然排気口は外気に開放されているであろうから、給気口も外気に開放されている必要がある。浴室の場合、冬期の外気の直接取り入れは望ましくない。

解説では、風力による換気と温度差(浮力)による換気について述べられている。

(26)見た目より有効(率)の小さいドアガラリ-居室におけるドアガラリのトラブル-

  • 空調されている応接室で、内開き扉が開けにくく、また、扉を急激に開けると照明器具の角形アクリルカバーが踊るなどの苦情が出た。
  • 還気はドアガラリから廊下に戻しており、必要面積が小さく室内が正圧になっていた。
  • ドアガラリ面積を大きくできないので、廊下と応接室の間にダクトを設けた。

(コメント)ドアガラリについて気を付けることをいろいろ解説しているが、ガラリの大きさについては、ガラリの形により有効率が違うので、建築意匠設計者任せにしないことが大切である。面速は1.0~1.5m/sで計画すること、ガラリにより音が聞こえる場合は、別に還気ダクト(連通ダクト)を設けることなどの注意事項も解説されている。

(27)風が出れば音も出る-屋上機械室ガラリからの騒音トラブル-

  • 屋上機械室の機器を運転すると、隣の建物から騒音の苦情が出た。測定するとガラリ前1mで、72ホン(A)!であった。
  • (原因1)送風機とガラリの距離が短く、ファンの音がそのまま外に出ていた。

 (原因2)ガラリチャンバーの鉄板が振動していた。

  • 原因1についてはファンの位置を変更してガラリとの間に消音チャンバーを取付け、原因2については、振動防止に訛り板を張り付けた。

(コメント)この書では、色々な解説を付けるため、『マタカ』以前のちょっとありえない話も取上げている。これもその一つで、試運転調整段階で分かるような事例である。

解説では、①主要機器の発生騒音のグラフ、②種々の消音機の特性図、③鉛板、鉛繊維の周波数別遮音性能、④ガラリの周波数別発生騒音表(面風速2,3m/s、吹出し・吸込み別などがあり親切である。

ガラリの発生騒音に関しては、配置やスペースについて計画段階からの検討が必要であるが、予想外の結果に対応するためには、スペースの配慮が必要である。

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