空調設備のマサカ③
- 冬の室温20℃について
冬季の室温に関しては、内部発熱量が多く20℃にならないのが問題である。照明器具発熱が大きい店舗ビルはもちろん、オフィスビルでも、窓面積の小さな建物やエアロフローウインドウ方式等窓面熱ロスが小さい建物は室温が25℃以上となる。ビルマルチ式エアコンの室内機の制御モードを全自動にした場合は、冬季でも冷房運転となる。
冬にエアコンの冷房(室温より低い吹き出し)運転を行うと、吹出し空気は刺すように冷たい。女子社員からクレームがあるばかりでなく、省エネにも反する。冬季は設定温度を下げた暖房モードか、換気モードにして、室温は上がっても成り行きにするというのが省エネルギーである。
- 湿度条件について①(夏の除湿)
冷房のためには、室内環気と外気の混合空気は、冷却されて室内に送風される。冷却用の冷水・冷媒温度は低いので、冷却時には自動的に除湿される。したがって冷房時の夏期の湿度制御はグレードの高い建物以外には行わない。一般的な建物では、冷房時の湿度は成り行きである。湿度制御をおこなわない建物では、設計図の夏季湿度条件記入欄には、50%(成行き)と注記が必要である。
- 湿度条件について②(冬の加湿)
加湿上の問題点は、絶対湿度が同じである場合は、室温があがると相対湿度が下がることである。通常の暖房時設計条件は20℃40%の場合が多く、発熱の多い室内では室温24~5℃となる。したがって相対湿度40%の維持は難しく、ビル管法の不適合率はNO.1となっている。
加湿器の選定に余裕がないのもその一因であるが、余裕がある蒸気加湿の場合でも、窓面結露が冬の除湿器として機能するので、湿度が上がらないというクレームに通じる。余分な加湿を行って除湿しているわけであるから、省エネに反する。
湿度条件を上げて、加湿器に余裕を持たせればよいであろうが、暖房室温設定を下げる方が有効である。しかし、放っておいても室温が上昇するのが問題である。空調機のレタン側に水加湿装置を組み込めば、冷却・加湿効果を有効に利用できると考えるがいかがであろう?
なお、自動制御システムでは、加湿は暖房モード時のみの作動となっていることが多い。冬季の室内発生熱を冷却し、湿度を維持するためには、水加湿の冷却・加湿効果を利用できるように、単独運転回路を設けるべきである。外気冷房で、中間期の湿度低下にも効果的な運用が可能である。