空調設備のマサカ⑤

2023年01月17日

1.3 外部負荷

 外部負荷は日射や内外温度差による、外壁面・窓ガラス面・屋上スラブからの冷暖房負荷である。南面ガラス窓の最大負荷は、5月、10月となることや冬に冷房が必要となる可能性については、空調技術者の常識であってほしい。外部負荷に関しては以下のことに注意してほしい。

  • 間仕切られると能力不足

 冷房負荷が最も大きいのは、ガラス窓開口が大きい場合の南西の角の部分である。平面的に大部屋となっている場合は、若干の温度勾配はあっても問題は少ない。しかしこの部分を間仕切ると外部負荷が大きいため、ファンコイルユニットなどのユニットが設置されていても、容量不足となることがある。注意が必要である。

  • 屋上負荷は小さい

 省エネの項目に、屋上に日射の反射塗料の採用がある。しかし鉄筋コンクリートや鉄骨造の一般ビルでは、屋上は断熱材、防水構造のため断熱性が大きい。言い換えれば熱貫流率は非常に小さい。したがって冷房負荷に占める割合は小さいのでこれによる省エネ効果は小さい。工場や低層の小店舗ビルなどの鉄板性の屋根で、熱貫流率の大きな建物の場合は、屋根面表面温度の低下による省エネ効果はあるといえる。しかし実態として、屋根面負荷がどの程度冷房用エネルギー消費に影響しているか不明の部分もある。省エネに関し、新しい材料やシステムを採用する場合は、効果算定に際し気をつける必要がある。

  • ペリメーターレス方式のちょっとした問題

 ペリメーターレス方式といっても、日射の影響が全くないわけではない。大部屋で使われている場合は問題ないが、間仕切りをすると、小さい量ではあるが窓面の輻射熱が暑く感じるとの事である。これは個室の多い外資系会社を対象とする、インテリア設計の経験のある後輩から聞いた。

また、冬季には熱ロスが少ないので、室温が下がらないという不具合もある。

  • ガラス建築は冷房が必要

 最近は全面ガラスの建物が多くなっている。従来から空調設備が設置されている空間は問題ないが、廊下・階段室など通常空調設備のないところでは、熱い寒いというトラブルとなる。

  • 外断熱さえすれば冷暖房は不要?

 これも『マサカ』の勘違いである。外断熱なのに暑いとか、共働きのお宅で冬に寒いなどと無料相談のHPに時々相談があるが、外断熱効果は冷暖房負荷が小さくなるだけである。ホームメーカーの営業マンの説明が、原理原則を理解していないためといえる。

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